285th Exhibition
─ 欧州夢幻 ─
第27回 斎藤良夫展
2025年 10月11日 (土) 〜 10月31日 (金)
※ 10月19日(日) 作家来廊
無数の人々が通り過ぎた街路、幾星霜が刻まれた石造りの家屋、荒野に佇む古い城塞の集落、ユーラシアの西・欧州の地を幾度も訪ね歩き、内なる故郷を求め続けて現在に到る。その60年にわたる旅路の集大成として、新作・旧作を交えて贈る
熟成のマスターピース。今、遥かな郷愁に染まる
空の下、夢幻に煙るあの追憶の街々へ。
斎藤 良夫 Saito Yoshio (1936〜)
千葉を拠点に活動して来た、現代油彩画の第一人者。油彩表現の可能性を追求し、長年にわたって油彩一筋に専念して現在に到る。深い趣に彩られた欧州風景・力強く躍動する海景・静謐な情趣を湛える静物・更には大胆な抽象表現に到るまで、その世界は多様な広がりを見せるが、そこには一貫して暖かく豊かな詩情が溢れている。
優れた感性のもとで、時に繊細に、時に奔放に、自在な技巧を駆使して描かれるその作品は、独特の郷愁と遥か
な浪漫を色濃く湛えながら、それがいかなるモチーフで
あっても、常に高い品格と質実な情趣をその内に宿す。
福島県に生まれるが若くして千葉に移住、故堀田清治を
師として画業を研鑽した後、故林武にも師事を仰ぎなが
ら、独自の画風を創り上げて行く。師の遺志を継いで長
く新槐樹社を舞台に活躍した後、委員長としてグループ
を率いるが後に退会、現在は会派にとらわれない独自の
活動を展開している。毎年夏に東京芸術劇場にて開催さ
れる、「日本の海洋画展」への招待出品を始めとして、
都内・県内の画廊における意欲的な個展を重ねる中で、
NHKを始めとしたテレビ局からの数々の出演以来もこ
なし、近年は千葉県文化会館やお台場・船の科学館にて
作品展が催される等、高い評価と賞讃を獲得しながら、
新しい境地への弛まざる探究は、未だ止みそうにない。
若年より数多い外遊を重ねながら、独自の作風を確立し
て後もそこに留まる事なく、安住を嫌って常に新しい挑
戦を繰り返して来たが、自らの道を真摯に歩み行く中で
生み出されるその作品は、巷に溢れる安直な油彩画とは
一線を画し、本物だけが持つ深く尽きない詩趣と共に、
悠然たる風格を湛えて見る者に迫る。堅実な写実表現を
基盤として、更なる新たな表現を希求する、本格油彩画
の本道を貫く数少ない作家の一人であり、人気や流行に
左右される事のない文字通りの「実力派」として、これ
からもその活動からは、目を離す事が出来ないだろう。