PRESENT

ペネスタン (2019)     油彩 / 15M
ペネスタン (2019)     油彩 / 15M

209th  Exhibition

── デ・ラ・ブルターニュ ──

第5回 藤崎孝敏展

 

2019年 11月06日 (水) 〜 11月25日 (月)

※ 11月09日(土) & 17日(日) 作家来廊

 

 荒ぶる海、遥かな大地、流れる雲、吹き渡る風。フランスの西端・ブルターニュに流れ着いて7年、画家は生きる日々に出会った、忘れ難き光景を描き留めた。風物・静物・人物等々あらゆる対象にその眼を向けて、全てを自らの絵と成す稀有の画家。その命漲るが如き世界を。

少女カーチャ (2019)    油彩 / 10F
少女カーチャ (2019)    油彩 / 10F

藤崎 孝敏  Cauvine Fujisaki  (1955〜)

 

上辺の虚飾や麗容をことごとく剥ぎ落とし、真っ向から人間の本質を鷲掴みにえぐり取って、そのままカンヴァスに叩き付けたかのような画風と言えば、その類を見ない独創的な表現の一端に、触れ得た事になるだろうか。30代初めに渡仏して、パリのモンマルトル界隈を転々としつつ、時にイタリアやスペイン等々、諸処を放浪する中で、荒々しい激情と憂愁の叙情を併せ持つ、独自の油彩画を確立する。以降、神戸や東京のギャラリーにお

ける数々の個展活動を通して、熱烈なファンを生み続け

て来た。表層の細密的・工芸的な美麗がもてはやされる

現代の美術シーンにおいて、小手先の技芸よりは一貫し

て血の通った内的な表現を指向し、それによってダイレ

クトに見る者の肺腑を衝き、胸をえぐるようなインパク

トを放つその作風は、極めて特異にして、一度見たら忘

れられないような衝撃を孕む。古くはヨーロッパ古典絵

画の手法を根底に置きつつ、近代のフォーヴィズムやエ

コール・ド・パリのスタイルにも近接しながら、それら

が渾然となって新たな作風に結実したかのような、ある

種反時代的とも言えるその強烈な個性は、反面見方を変

えれば、油彩にしか出来ない油彩ならではの表現を、純

朴に真摯に追求したものと言えるだろう。50代でパリ

を離れ、ベルギーからノルマンディーを経て現在はブル

ターニュに在住、しかし自らの生活に根ざしたストレー

トな内省的表現は、所を変えても全く揺るぐ事がない。

かつてのパリ時代に、画家はこんな言葉を残している。

 

「モンマルトルに居ついてもう永い。どんなに一カ所に

永く住みついても、いつも旅の途中だという感覚から逃

れられない。想い出すという事は眺める事だ。しかし、

時に人々はそれに触れてしまう。そして僕もまた、触れ

た指に筆を持ち替えて描いている。人はどうして喜びに

触れたその瞳で、哀しみに触れてしまうのだろう。僕の

旅は僕の心の中に、絵の具のしみとなって燻っている」