PRESENT

海儀 (2019)    鉛筆 / 34.9x29.5cm
海儀 (2019)    鉛筆 / 34.9x29.5cm

206th  Exhibition

── クラインの古球儀 ──

第11回 河内良介展

 

2019年 08月03日 (土) 〜 08月23日 (金)

※ 08月10日(土)・11日(日) 作家在廊

 

表は裏へと変じ、内は外へと転じ、あらゆる境界の消えた世界は、今軽やかなアリアを奏で始める。20数種の鉛筆による卓絶のグラデーション、縦横に展開する瞠目のイリュージョン。今夏も炎天の午後はいよいよシュールな冴えを見せる、驚異のモノクローム・ワールドへ。 

風に吹かれて (2019)         鉛筆 / 11.4x7.5cm
風に吹かれて (2019)         鉛筆 / 11.4x7.5cm

河内 良介  Kawauchi Ryosuke (1957〜)

 

「鉛筆画」の異才。鉛筆ならではの表現を徹底して追求し、鉛筆画の限りない可能性をひらいて、現在に到る。

一般に鉛筆画の世界では、写実技法の限りを尽くして、人物画であれば細かな皺の一本、植物画であれば繊細な葉脈の一筋までを、克明に描写するその「技術」を信条とする作家が多い。その中で河内良介は、卓抜の細密描写を自在に用いながらも、その次元には自らのスタンスを置かずに、むしろその技術だからこそ描き得る「絵画空間」を、独自に追求して来た作家である。故にその作品では、高度な技術力と豊潤な想像力が、分ちがたく融け合って、類例のない独創的な世界が形成されている。

何処とも知れない異郷に登場する、何者とも知れない人物達。加えてユーモラスな動物達やレトロな乗物達、あるいは奇妙な建造物やアンティークな器械類、それらが自由にコミュニケートしながら、不思議な詩情に満ちた

独自の世界が展開されて往く。おおむね広々とした草原

と果てしない大空を背景として、縦横に繰り広げられる

物語の数々、そこには伸びやかに解き放たれたファンタ

ジックな時空が、穏やかな静けさの中に広がっている。

見せかけの新奇をてらうでもなく、スタイルの異端を誇

示するでもなく、あくまでも軽やかにしなやかに、しか

し斬新な気概を秘めたその作風は、上質にして極めて純

度の高い、シュルレアリスムの現在形と言えるだろう。

モノトーンの豊かなグラデーションから浮び上がる、豊

饒なイメージに満ち溢れた小宇宙。10B~10Hの全

硬度・20数種にも及ぶ鉛筆を駆使して描き出された、

その驚異的な細密表現に触れた時、モノクローム芸術の

思いもよらない美しさに、見る人は思わず息を呑むだろ

う。東京オペラシティを始めとした美術館等にも、多数

の作品が収蔵され、全国各地のギャラリーでも次々と展

示会が企画される中で、次世代をになう特異な芸術家と

して、いよいよそのユニークな活躍が期待されている。