PRESENT

月京離宮 (つきのみやこのはなれみや)  油彩を中心とした混合技法 / 730x912mm
月京離宮 (つきのみやこのはなれみや)  油彩を中心とした混合技法 / 730x912mm

272nd Exhibition

── 月京離宮 (つきのみやこのはなれみや) ──

第5回 小林健二展

2024年 10月11日 (金) 〜 10月28日 (月)

 

わずかに地軸の異なる世界で、密やかに息づく不思議な生き物たち。音もなく帯電して明滅し、柔らかに変容する透明な有機体、その薄明に浮遊するあえかな幻像は、おぼろに揺らぐ微かなモノローグを、沈黙の向こうより語り続けてやまない。待望の第5回展、多彩なヴァリエ

ーションで描き出された、小林健二の新たなる地平を。

 

【 KENJI  KOBAYASHI  OFFICIAL  SITE 】

星への移行;水 (1993)       Mixed media / 905x820mm
星への移行;水 (1993)       Mixed media / 905x820mm

小林 健二 Kobayashi Kenji (1957〜)

 

画家にして造形作家、科学者にして詩人、作曲家にして

思想家、広域にわたる博学をベースにあらゆる分野のボ

ーダーを超えて、幅広い表現活動を行う異色作家。全く時流に左右される事のないその制作は、類例のない現代美術の異才として、全国的に熱烈なファンを持つ。神話的テーマや夢で見た風景・物語等を元に、時に最先端のテクノロジーを制作に組み入れながら、清新な詩情の溢れる不思議な世界を創造し、「現代美術」という特定のジャンルを大きく超えて、多くの人々を魅了して来た。

制作に当っての材料や技法への専門的考察、道具や工具等に寄せる尋常でないこだわりは、知る人の間では最早伝説の域に達しており、それらを広い博識と深い研究に

よって自在に駆使して、斬新なアイディアと柔らかなメ

ッセージに満ちた、特異な世界を創出して現在に到る。

一貫して独自の宇宙観を底流とした、広範な表現活動を

展開する一方で、工作や模型等の製作や研究を通して、

科学的な啓蒙活動にも力を傾け、中でも1997年に出

版された「ぼくらの鉱石ラジオ」は、その精緻を極めつ

つも夢溢れる内容が、世代を超えた好評を博した。以降

そのユニークな研究は、数多くのワークショップを通し

て、心に未だ工作少年を宿す人々を魅了し続けている。

水戸芸術館・三菱地所アルティアム・富山県立近代美術

館・福岡市美術館・福井市美術館等々における大規模な

作品展の他、全国各地の先進的なギャラリーで数々の意

欲的な個展活動を展開し、その都度類例のない世界を提

示して来たその独創性溢れるアートは、これからも現代

美術という範疇を軽やかに超えて、何かを求めるより多

くの人々に、豊かなメッセージを送り続ける事だろう。

 

「大事なことは、見えないところに潜んでいる。見える

ものは一つの結果に過ぎなくて、見ようとする意志が大

切なんだ。作品を見た人がそれぞれに、自分の中を探検

して何かを見つけられたら、そんな素敵なことはない」