PRESENT

悠々無限 (2020)            木版画30版48度摺 / ed.50
悠々無限 (2020)            木版画30版48度摺 / ed.50

223th  Exhibition

──  雪 月 花  ──

第17回 牧野宗則木版画展

 

2021年 01月06日 (水) 〜 01月23日 (土)

 

日本の美を象徴する言葉として、昔日より親しまれて来た「雪月花」。しかし、日本画の精神はとうに隠滅し、浮世絵も衰退の一途を辿る現在、真にこの言葉を体現する作家は少ない。今、この標なき時代にあって、名匠・牧野宗則の手になる雪月花は、新たな日本の美を鮮やか

に提示する。2年ぶりの作品展、その豊麗なる世界を。

雪嶺 (1993)    17版27度摺 / ed.250
雪嶺 (1993)    17版27度摺 / ed.250

牧野 宗則 Makino Munenori (1942〜)

 

伝統浮世絵木版の技法を20年にわたって修得し、その高度な技術を自在に駆使して、更には独自の新たな発展を加えつつ、かつてない新しい木版画を制作する独創的な現代版画作家。通常の木版制作の常識を遥かに超えて20~50数度にも及ぶ驚異的な重ね摺りを、従来の伝統的な分業によらず全くの単独で手掛ける。よってその制作は長期にわたる複雑な工程を要するため、作品点数は年間に1~2作と寡作にならざるを得ないが、過酷な

作業から生み出されたその木版画には、息を呑むような

鮮やかな色彩が、みずみずしく輝き溢れている。かつて

世界を瞠目させた伝統木版の脈流も、今や時代の波間に

衰退の一途をたどる現状の中で、その伝統をかえって新

しい表現の武器として用い、遂には伝統を超えて「牧野

木版」と呼ぶ以外にない、全く独自の作風に到ったその

軌跡は、北斎・広重から連綿と続く道を現代に新しく展

開した「生きた伝統」の画期的な証しといえるだろう。

自然への深い祈りを秘めて、優麗にして神秘な高い品性

を湛えるその作品は、屈指の浮世絵蒐集で知られる太田

記念美術館や、アメリカのジョスリン美術館を始めとし

た多くの美術館に収蔵され、更にはBunkamura・伊勢

丹・松坂屋等における数多い個展を通して高い評価と賞

讃を獲得し、遂にはニューヨークでも伝統木版の新たな

現在形を世に問うに到った。また近年は、摺り終えた色

鮮やかな版木を裁断して再構成する事により、別種の作

品として甦らせる「ブロックス・アート」を発表し、版

画界初の試みとして大きな注目を集めている。伝統技法

の啓蒙と保存・そして版木そのものの美しさを広く伝え

るため、この新しい表現は牧野芸術の重要な一翼を担っ

て行く事になるだろう。高度な伝統木版と自由な創作木

版を初めて融合させたその比類なき世界は、日本でも唯

一の特異な木版芸術として、これまでも、そしておそら

くはこれからも、他の追随を許す事はないと思われる。