PRESENT

ピヴォワーヌ (2020)     油彩 / 15M
ピヴォワーヌ (2020)     油彩 / 15M

221th  Exhibition

── 闇に燃ゆる花の如く ──

第6回 藤崎孝敏展

 

2020年 11月04日 (水) 〜 11月23日 (月)

※ 11月07日 (土) PM 作家来廊 

 

2020年、不穏な濃霧はあまねく世界を覆い、西欧を侵蝕する惨禍は、現在も終息に到らない。ブルターニュの画家もまた、数々の辛苦を強いられたが、全てを乗り

越えて空を渡り、困難な帰国を果たした。今年もその手

が抱く渾身の結晶は、必ずや光なき人心に、赤々と燎火

を灯すだろう。暗雲の闇を照らす、強靭なる花々を今。

自画像 (2020)        油彩 / 15F
自画像 (2020)        油彩 / 15F

藤崎 孝敏 Cauvine Fujisaki (1955〜)

 

上辺の虚飾や麗容をことごとく剥ぎ落とし、真っ向から人間の本質を鷲掴みにえぐり取って、そのままカンヴァスに叩き付けたかのような画風と言えば、その類を見ない独創的な表現の一端に、触れ得た事になるだろうか。30代初めに渡仏して、パリのモンマルトル界隈を転々としつつ、時にイタリアやスペイン等々、諸処を放浪する中で、荒々しい激情と憂愁の叙情を併せ持つ、独自の油彩画を確立する。以降、神戸や東京のギャラリーにお

ける数々の個展活動を通して、熱烈なファンを生み続け

て来た。表層の細密的・工芸的な美麗がもてはやされる

現代の美術シーンにおいて、小手先の技芸よりは一貫し

て血の通った内的な表現を指向し、それによってダイレ

クトに見る者の肺腑を衝き、胸をえぐるようなインパク

トを放つその作風は、極めて特異にして、一度見たら忘

れられないような衝撃を孕む。古くはヨーロッパ古典絵

画の手法を根底に置きつつ、近代のフォーヴィズムやエ

コール・ド・パリのスタイルにも近接しながら、それら

が渾然となって新たな作風に結実したかのような、ある

種反時代的とも言えるその強烈な個性は、反面見方を変

えれば、油彩にしか出来ない油彩ならではの表現を、純

朴に真摯に追求したものと言えるだろう。50代でパリ

を離れ、ベルギーからノルマンディーを経て現在はブル

ターニュに在住、しかし自らの生活に根ざしたストレー

トな内省的表現は、所を変えても全く揺るぐ事がない。

かつてのパリ時代に、画家はこんな言葉を残している。

 

「モンマルトルに居ついてもう永い。どんなに一カ所に

永く住みついても、いつも旅の途中だという感覚から逃

れられない。想い出すという事は眺める事だ。しかし、

時に人々はそれに触れてしまう。そして僕もまた、触れ

た指に筆を持ち替えて描いている。人はどうして喜びに

触れたその瞳で、哀しみに触れてしまうのだろう。僕の

旅は僕の心の中に、絵の具のしみとなって燻っている」