PRESENT

No.794   Acryl on paper / 91x67cm
No.794   Acryl on paper / 91x67cm

190th  Exhibition

── KEEP ON DANCIN' ──

わたなべゆう ドローイング展

2018年 05月23日 (水) 〜 06月11日 (月)

 

※ 05月26日(土)・27日(日)

        06月09日(土)・10日(日) 作家在廊 

  

シェイキング、ローリング、ジャンピング、ドリフティング、多様な描線が飛びかい、画面を乱舞する。わたなべゆう第10回展、いよいよ瑞々しく躍動する、新たなるドローイング・ワークスを一堂に。温かな古紙の時空から、画家の声は敢然と響くだろう ── 踊り続ける!

No.652   Acryl on paper / 53x42cm
No.652   Acryl on paper / 53x42cm

わたなべ ゆう  Watanabe You  (1950〜)

 

「物質的平面である事をより強く意識して、いかに美し

 く汚すか、いかに美しく壊すかという事を考える。そ

 して、記憶が発酵して出て来るニオイを有形化する。

 原初的な形の背後にある空気・匂い・古び・汚れ、ま

 たは時間の蓄積による風化、これらの日本人独特と思

 われる美意識が、画面の中に入り込んで来る。これを

 共有された精神風土の記憶として、提示する事は可能

 だろうか。例えば、現代社会が見失いかけている精神

 的な豊かさを、画面に取り込む事はできるだろうか。

 出口を見失ってしまった迷路から抜け出す為には、入

 り口にまで戻るしかない。美術の発生したその原点ま

 で戻って、あの豊饒さと緊張を手に入れたいと思う」

 

大地の匂い、沃野を渡る風、時の限りない堆積を遡行し

た果てに、おそらくは消し難く残るであろう、原初の記

憶。わたなべゆうの原点は、そんな理性の表層には決し

て浮上する事のない、感性の深層にあるように思える。

「記憶に残っている事が、正に描かなければならない事

だ。消しても消しても出て来てしまうもの。くり返しく

り返し表れてくるもの」と本人も語るように、その豊潤

なイメージが溢れる独自の世界は、本来人間が在るべき

場所としての「自然」を、殊に現代の忘れかけた「土」

の温もりと手触りを、見る者に強く喚起してやまない。

幾重にも塗り込まれた重厚なマチエール、生命が多岐に

分化する以前を思わせる始原的なフォルム、その横溢す

る魂をダイレクトに描き出したかのような作風は、いつ

しか精神性が置き去りにされ、小手先の手法ばかりが蔓

延する現代の美術界で、極めて特異な光芒を放つ。しか

し、一種荒ぶる相貌の内は、あくまでも温かい。現代人

の多くが内奥に抱え持つ、テクノロジーの発展するほど

にやせ細るばかりの、ひからびた冷たい精神の荒野に、

その大地の鼓動と体温を感じさせるダイナミックな表現

は、豊饒の風をいきいきと吹き込んでくれる事だろう。