PRESENT

あいまいな鏡 (1994) Lithograph/ed.30
あいまいな鏡 (1994) Lithograph/ed.30

245th Exhibition

── 遮(さえぎ)られた休止符 ──

第2回 舟越桂版画展

2022年 09月15日 (木) 〜 10月02日 (日)

 

沈黙の時空にたたずむ人物像、放心の表情から注がれるその視線の先に、彼らは何を見ているのだろう。独創的な彫刻が国際的な評価を得る一方で、もう一つのライフ

ワークである版画制作も、また特異なオリジナリティー

を放つ。9年ぶりに贈る版画展、貴重なリトグラフの名

作から近年の銅版画まで、その比類なき画業を一堂に。

凍りついた喉 (1993)         Lithograph / ed.50
凍りついた喉 (1993)         Lithograph / ed.50

舟越 桂 Funakoshi Katsura (1951〜)

 

 言わずと知れた現代彫刻の奇才。故舟越保武を父に持ち、20代より木彫の彫刻を発表、その独創的な表現は国際的にも高く評価され、現代彫刻の第一人者として現在に到る。当初から人物をモチーフとして、具象的な彫刻表現に徹し、一貫して楠(くすのき)だけを素材に、内省的な独自の人物像を制作して来た。おおむねは等身大の半身像、淡い彩色の施された、独特の鑿跡(のみあと)を残す地肌、大理石を用いて創られた、不思議な光彩を宿す眼、そのある種謎めいた時空をまとう彫像は、静謐ながら強靭な存在感を湛えて、見る者と対峙する。

 一方では30代後半より版画制作にも着手、銅版・石版・木版等のあらゆる技法に挑戦しながら、「彫刻家の

版画」という範疇を超えて、版画家さえ成し得なかった

革新的な表現を、低迷する版画界に提示して来た。その

作品は、主にクラウン・ポイント・プレスやタマリンド

・ワークショップといった、アメリカの著名な版画工房

を舞台にして、作家自身が版制作の全てを手がけるもの

で、ソープグランドやスピットバイト等の特殊技法を自

在に用いながら、オリジナリティー溢れる表現を獲得し

ている。現在、舟越桂という芸術家にとって「版画」と

いう表現領域は、彫刻表現と並行して展開される、もう

一つのライフワークと言っても過言ではないだろう。

 早くからその制作は海外でも注目され、ニューヨーク

のアンドレ・エメリック・ギャラリーを始めとした、数

々の著名画廊における個展開催、更にはメトロポリタン

美術館等の名だたる施設にも、その作品がコレクション

される等、その類例のない独自の具象表現は、現代アー

トの重要な一翼を担うものとして、いよいよ国際的な評

価を高めている。今世紀に入ってここ日本でも、東京都

現代美術館を皮切りに巡回展が企画され、並行して版画

による作品展も全国各地で開催される等、その意欲的な

表現活動からは、未だ目を離す事が出来ない。