PRESENT

ラウラ凛たり (2024) Bronze / h.260cm
ラウラ凛たり (2024) Bronze / h.260cm

268th Exhibition

── 綺羅の破片 ──

第6回 三木俊博展

 

2024年 06月21日 (金) 〜 07月08日 (月)

※ 06月23日(日) PM 作家在廊

 

人体をモチーフとするため、終始リアリズムで形を追う事によって、量塊は生成される。従来の絵画や彫刻の匂いを無くし、不断の跡形を読み込む事、あちら側のものがこちら側を射るように幻視する事。気まぐれな心像に生起するものは、いつも通りの夢幻劇である。~ MIKI

ラヴドール (2024)           ドローイング/ 27.7x19.0cm
ラヴドール (2024)           ドローイング/ 27.7x19.0cm

三木 俊博 MIKI Toshihiro (1950〜)

 

何らかの変容する金属塊を、ここに仮定してみたい。微動だにしない硬質な表面が、次第に軟体のように柔らかく隆起して、何か茫漠としたフォルムを徐々に形成し、やがて明確な人体の形象が現れる。暫時それが像としての様態を保った後、今度は逆に明瞭な輪郭を失い始め、気が付くとまた漠とした形態へと溶解し、いつしか元の塊の中に消失して往く。その不思議な変容のある時点、つまりは量塊から何かの形象が現出する途中、あるいは形象が再び量塊へと消失しゆく途中、その生成と消滅の狭間にこそ、この極めて独創的な彫刻家の領域が在る。

三木俊博──現代ブロンズ彫刻の奇才。30代で渡欧、

イタリア国立フィレンツェ美術アカデミーに学び、11

年にわたる研鑽を積んで帰国、東京を中心とした各地の

ギャラリーを舞台に、ユニークな個展活動を展開して来

た。神話や聖典の登場人物、あるいは文学作品や歴史上

の人物をモチーフとして、ロストワックスによる卓越の

ブロンズ技法を駆使した、質の高い作品を発表して現在

に到る。あたかも精神の量塊から、茫漠と浮び上がるか

のようなその作風は、具象と抽象の狭間を往く、かつて

ない特異な立体表現として高く評価され、さりながら、

大規模なモニュメント等に走る事なく、あくまでも生活

空間に置き得る小品をメインとしたその制作は「彫刻を

飾る」という習慣の未だ希薄な本邦において、本格芸術

のファン層を中心に、幅広い共感の輪を広げつつある。

また、彫刻と併行して制作されて来た、主に裸婦をモチ

ーフとする平面作品も、極限まで要素を切り詰めた独自

の画風を持ち、元々は画家を志望していたという経緯も

あって、平面表現においても斬新な挑戦を続けている。

2011年には、鋳金芸術の専門施設として知られる、

千葉県印西市のメタルアート・ミュージアム「光の谷」

においても、大規模な回顧展が開催される等、いよいよ

確固とした評価を獲得しつつも、一貫した「人体」即ち

「人間」への飽く事なき追求は、現在も已む事がない。