PRESENT

自画像 (2017)       油彩 / 30P
自画像 (2017)       油彩 / 30P

184th  Exhibition

── 流浪の大地から ──

第3回 藤崎孝敏展

 2017年 11月11日 (土) 〜 12月01日 (金) 

※ 11日(土) & 19日(日) 作家来廊 

 

 長い流浪の果てに、画家は北仏の小村にたどり着いた。

緑なす丘陵、風の渡る広野、地を彩る花々、辺境に生き

る人々。巴里の陋巷を出て十余年、画家は今異郷の原野

を踏みしめ、悠久の天涯を仰ぐ。待望の第3回展、濃厚

な大地の香りを孕んで新たなる世界がその幕を開ける。 

自画像 (最終型)       油彩 / 30P
自画像 (最終型)       油彩 / 30P

藤崎 孝敏  Cauvine Fujisaki  (1955〜)

 

上辺の虚飾や麗容をことごとく剥ぎ落とし、真っ向から

人間の本質を鷲掴みにえぐり取って、そのままカンヴァ

スに叩き付けたかのような画風と言えば、その類を見な

い独創的な表現の一端に、触れ得た事になるだろうか。

30代初めに渡仏して、パリのモンマルトル界隈を転々

としつつ、時にイタリアやスペイン等々、諸処を放浪す

る中で、荒々しい激情と憂愁の叙情を併せ持つ、独自の

油彩画を確立する。以降、神戸や東京のギャラリーにお

ける数々の個展活動を通して、熱烈なファンを生み続け

て来た。表層の細密的・工芸的な美麗がもてはやされる

現代の美術シーンにおいて、小手先の技芸よりは一貫し

て血の通った内的な表現を指向し、それによってダイレ

クトに見る者の肺腑を衝き、胸をえぐるようなインパク

トを放つその作風は、極めて特異にして、一度見たら忘

れられないような衝撃を孕む。古くはヨーロッパ古典絵

画の手法を根底に置きつつ、近代のフォーヴィズムやエ

コール・ド・パリのスタイルにも近接しながら、それら

が渾然となって新たな作風に結実したかのような、ある

種反時代的とも言えるその強烈な個性は、反面見方を変

えれば、油彩にしか出来ない油彩ならではの表現を、純

朴に真摯に追求したものと言えるだろう。50代でパリ

を離れ、ベルギーからノルマンディーを経て現在はブル

ターニュに在住、しかし自らの生活に根ざしたストレー

トな内省的表現は、所を変えても全く揺るぐ事がない。

かつてのパリ時代に、画家はこんな言葉を残している。

「モンマルトルに居ついてもう永い。どんなに一カ所に

永く住みついても、いつも旅の途中だという感覚から逃

れられない。想い出すという事は眺める事だ。しかし、

時に人々はそれに触れてしまう。そして僕もまた、触れ

た指に筆を持ち替えて描いている。人はどうして喜びに

触れたその瞳で、哀しみに触れてしまうのだろう。僕の

旅は僕の心の中に、絵の具のしみとなって燻っている」