271st ── 浪漫街道 ──
第26回 斎藤良夫展
2024年 09月12日 (木) 〜 09月29日 (日)
イタリアからフランスへ、更にスペインを経てポルトガルまで、欧州の古都を巡り、名も知れぬ寒村へと赴く旅路は、いつしか数十年の歳月を、画家の人生に刻んだ。故に描かれた街々は、いつも限りない郷愁を纏いつつ、
内なる故郷へと見る者を誘う。今秋は悠久の空の下、未
だ終わらない旅路を往く画家の、遥かなる浪漫街道へ。
【DM】 ゴヤをたずねて〜フェンデトードス (2023)
油彩 / 20M
270th ── キオクノカケラ ──
第8回 新井知生展
2024年 08月16日 (金) 〜 09月02日 (月)
今ではないいつか・ここではないどこか、時空を超えてよみがえる記憶の欠片たち。それらは彼方の鳥となり、花となり、樹となり、月となり、始まりのない詩と、終わりのない物語を紡ぎ出す。今夏に贈る待望の8回展、ひたすらに「描く」日々の中で、自己との長い対話から生み出された、秘めやかにして豊かな「生」の刻印を。
【DM】 ボトルの中の夜 (2024)
板に綿布・アクリル絵具 / 32x32cm
269th ── Q・ガーデンの午後 ──
第16回 河内良介展
2024年 07月19日 (金) 〜 08月05日 (月)
休日の閉ざされた庭園に、遅い午後の鐘が流れる頃、植物たちは緩やかに目覚め、中空へとその触手を伸ばす。機械仕掛けの歌、浮遊する動物たち、モノクロームの黄昏、錯乱する博物誌、麗しき疑問符の楽園で、世界は軽やかなエラーを奏でる。鉛筆画の異才による16回展、今夏も更なる展開を見せる、驚異のワンダーランドへ。
【DM】 奏楽堂 (2024)
鉛筆 / 32.0x38.5cm
268th ── 綺羅の破片 ──
第6回 三木俊博展
2024年 06月21日 (金) 〜 07月08日 (月)
人体をモチーフとするため、終始リアリズムで形を追う事によって、量塊は生成される。従来の絵画や彫刻の匂いを無くし、不断の跡形を読み込む事、あちら側のものがこちら側を射るように幻視する事。気まぐれな心像に生起するものは、いつも通りの夢幻劇である。~ MIKI
【DM】 ラウラ凛たり (2024)
Bronze / h.26.0cm
267th ── 直線で描かれたブレヒトの犬 ──
第3回 北川健次展
2024年 05月22日 (水) 〜 06月10日 (月)
宙空を鋭利に貫く直線、架空を豊潤に歪める曲線、不穏な浪漫を湛える座標空間に、異形の図像学が生起する。謎めいたボックス・オブジェに加えて鋼板と鉄線による新たな金属オブジェも交え、具象と抽象の絢爛と交錯する第3回展、秘めやかな官能に満ちた異次元の境域を。
【DM】 Sarah Bernhardt の硝子の肖像 (部分)
Objet / 2024
266th ── 日々賛々 ──
第16回 榎並和春展
2024年 04月25日 (木) 〜 05月12日 (日)
※「企画画廊 くじらのほね」と同時開催
不安定な年頃というのは、何も青春の一時期だけではない、人はいつまでも迷い続けるものだ。そして人は生きて来たように老いて行く、それを誰も避ける事が出来ないのなら、もはや日々を楽しんで生きて行くしかない。今回も、そんな「なにげない日々」への賛歌を。~HARU
【DM】 アコーディオン弾き (2023)
混成技法 / 6F
265th ── み て ! ──
第18回 平澤重信展
2024年 03月28日 (木) 〜 04月14日 (日)
うす曇りの午後、誰もいない広場では、数知れない思い出のかけらが、不規則な風に吹き上げられて、花びらのように舞い踊っている。せめぎ合い、混じり合い、響き合うかけらたち、その下を横切るひそやかな散歩道は、いつか広場の彼方へと消えて見えない。そして今、柔らかな詩が紡ぎ出される、微かに流れ来る叫びと共に。
【DM】 ピアニッシモは震えた (2016)
油彩 / 6S (40.9x40.9cm)
264th ── 春日清閑 ──
第21回 中西和展
2024年 02月29日 (木) 〜 03月17日 (日)
柔らかな沈黙の中で、時はいつまでも動かない。画面はただひたすらに「寂」として、澄み渡る閑けさだけが、穏やかに空を満たす。俗世の泥濘を清々と離れ、曇りなき楽土へといざなう寂静の絵画。
今春21回展を迎え、いよいよ自在な表現を見せる、画匠・中西和の「今」を。
【DM】 古い画筆のある (2024)
混合技法 / 50x50cm
263rd ── 翳りゆく刻印 ──
第5回 森幸夫展
2024年 02月01日 (木) 〜 02月18日 (日)
画業の中核を成す「北辺の風景」と併行して、画家が数十年にも亘って取り組んで来た、もう一つのテーマがある。裸婦ドローイング──数多の安直なスケッチとは一線を画して、静謐の時空に緩やかにうねる曲線が、濃厚
な存在の量塊を描き出す。待望の5回展、茫漠と翳りゆ
く画面に深々と刻まれた、ドローイング表現の真髄を。
【DM】 風景のような裸婦 (2023)
コンテ, パステル, 水彩 / 30.5x45.5cm
262nd ── 早春譜 ──
第10回 佐々木和展
2024年 01月06日 (土) 〜 01月22日 (月)
画家の愛した懐かしい谷戸には、いつしか春が兆している。冬を凌(しの)いだ名もなき草達は、もうすぐ新たな命を謳歌するだろう。
早逝より15年、歳月は流れ時代は変われども、残された絵画は永遠に変わらない魂を宿す。今もなお瑞々しい息吹に満ちた、佐々木和の麗しき世界を。
【DM】 ひっそりと春 (2008)
混合技法 / 8F
261st ── 月夜のモノローグ ──
第18回 舟山一男展
2023年 12月07日 (木) 〜 12月24日 (日)
夜も更けて淡い月明かりが影を落とす頃、アルルカンは独り哀しい仮面の奥から、長いモノローグを語り出す。憂愁・孤独・愛憎・夢想…、あらゆる人世の機微を秘めて、美醜を超えた魅惑を滲ませる、天幕の下の無言劇。今宵、月影に妖しく浮かぶ、密やかな劇場にようこそ。
【DM】 仮面の告白 (2023)
混合技法 / 3F
260th ── 辺境のヴォワイヤン ──
第9回 藤崎孝敏展
2023年 11月09日 (木) 〜 11月26日 (日)
パリからベルギーへ、ベルギーからノルマンディーへ、ノルマンディーからブルターニュへと、果てなき放浪を重ねつつ、画家は比類なき見者として世界を見続けた。いつしか日常の周縁は、画家の目を通してその絵筆から溢れ出し、特異な心象表現として蘇生する。第9回展、
今年も欧州の辺境より届けられた、油彩芸術の真髄を。
【DM】 冬のパリ (2023)
油彩 / 8P
259th 欧州 ── 遥かなる故郷を想いて ──
第25回 斎藤良夫展
2023年 10月13日 (金) 〜 10月30日 (月)
悠久の空の下、郷愁に染まる荒野の彼方に、画家の内なる故郷は、今もその古い街影を落とす。遥かなるイベリアの大地、南フランスの丘陵、イタリアの村落、半世紀を超える旅路で訪れた、懐かしき心の故里…。今秋、3年ぶりによみがえる斎藤良夫の世界、いよいよ深まる詩
情を豊かに孕みつつ、新たな展開を見せる魂の絵画を。
【DM】 晩秋 ─ シグエンサ (2023)
油彩 / 30P
258th ── 秘められた夜のために ──
第2回 増田泰子展
2023年 09月15日 (金) 〜 10月02日 (月)
眠らない夜の扉を開けて、もの想う少女たちは密やかに集う。その夜、月は中空にかかり、不穏な雲影にかげりつつ、淡い微光を窓辺に落とした。誰知らぬ部屋では、古い時計がいつの間に針を止めて、やがて何処からか、終わりなきノクターンの流れる時、ヴェールを彩るアラベスクの向こうで、少女たちの秘めやかな宴が始まる。
【DM】 夜話 (2023)
キャンバスにアクリル / 20F
257th ── 響き出す残花の調べに ──
第15回 栗原一郎展
2023年 08月18日 (金) 〜 09月04日 (月)
画家逝きて3年、美術シーンはいよいよ浮薄へと傾き、そのあるべき姿を失いつつある。絶えざる闘病の中で、
最期まで純粋な「画家」のスタンスを貫き、真実の「絵画」を追求し続けた栗原一郎の軌跡は、残された私たちに今一度、本来の芸術表現への再考を迫って止まない。
回顧展第2弾、油彩と素描による、熱き挑戦の残花を。
【DM】 洋梨のある (2019)
油彩 / 8F
256th ── 架空庭園の詩(うた) ──
第15回 河内良介展
2023年 07月21日 (金) 〜 08月07日 (月)
とある午後、ふと周囲の音が絶える時、時空は人知れず揺らいで異境への扉を開き、架空庭園への通路を示す。そこは白昼夢の植物園、幾多の物語が自在に交錯して、あらゆる境界は軽やかに解き放たれ、世界は不条理の凱歌を奏でる。15回を数える驚異の鉛筆画展、いよいよ
瞠目の進化を見せる、新たなるモノクロームの庭園へ。
【DM】 WATER LILLY (2023)
鉛筆 / 39.0x53.0cm
255th ── あの頃のように ──
第9回 中佐藤滋展
2023年 06月22日 (木) 〜 07月09日 (日)
運河を走る船、煙のたなびく工場、橋を渡るとさびれた路地があり、カフェでは怪しげな紳士が紫煙を燻らす。奥の部屋には主人の居ない食卓、その上にはボトルやケトルが並び、熱いフライパンが湯気を立てている……。
全てが目紛しく移り変わる世にあって、変わらない追憶
の時間を描き出す、中佐藤滋の懐かしき「あの頃」を。
【DM】 あの頃のように (MAGICIAN)
Acryl on canvas / 2023
254th ── Genovaに直線が引かれる前に ──
第2回 北川健次展
2023年 05月24日 (水) 〜 06月12日 (月)
歪められた位相の幾何学、不穏なる倒錯の詩学、謎は明かされぬ犯意を秘めて、永遠の異界へと封印される。
有りと有る世界の断片を交錯し、瞠目の錯視劇 (イリュージョン) を展開する、比類なき幻惑のミクロコスモス──昨年に続く待望の2回展、暗箱の闇を絢爛と彩る、あの官能の魔術を再び。
【DM】 螺旋の詩学 ─ Firenzeの階段を昇る男
オブジェ (部分)
253rd ── 夢のまにまに ──
第15回 榎並和春展
2023年 04月27日 (木) 〜 05月14日 (日)
※「企画画廊 くじらのほね」と同時開催
自分の人生を俯瞰的に眺めていたら、突然「夢のまにまに」という言葉が降りてきた。調べてみると「まにまに」とは、相手の成り行きに合わせて進む様子を意味する、とある。夢を見るように事の成り行きに任せる、という事か。夢かうつつか幻か、昼行燈のような私の生き様をよく表している。確かに、ここまでの人生を振り返ると、夢を見ていたようなものだ。夢と現が波間に漂う、うたかたのような……。 榎並和春
【DM】 吟遊詩人 (2022)
Mixed media on panel / 6F
252nd ── 泡沫〜うたかた ──
第6回 本宮健史展
2023年 03月29日 (水) 〜 04月17日 (月)
第5回展から3年、その間ウィルスは世界を侵蝕し、自然は随所で荒れ狂い、戦火は更なる暗影を落とす。そして新たな春、バルセロナから届く作品群は、それでも精神の歩むべき道は、私達に在るのだと語る。待望の第6回展、暗夜にあってなお強靭な灯火を宿す、魂の刻印を。
【DM】 泡沫ーうたかた (2022)
Mixed media / 55x46cm
251st ── 春の窓を開けて ──
第20回 中西和展
2023年 03月02日 (木) 〜 03月19日 (日)
何気ない日常に注がれる清らかな眼差し、その曇りなき視線の奥から、存在への柔らかな共感が滲み出す。尊きもの、仰ぎ見るもの、全てそれらは目前に存し、探さずとも楽土は今・ここに在る──まるでそう語るかのよう
に、絵画は寂静の気韻を放って止まない。第20回展、
暗澹と曇れる世情にあってなお澄み渡る、清浄の春を。
【DM】 由比ヶ浜通りの花屋 (2022)
Mixed media / 38x60cm
250th ── 標(しるべ)なき道の果つる地に ──
第4回 森幸夫展
2023年 02月02日 (木) 〜 02月19日 (日)
いつしか人家も尽きて、野路も荒野へと消え、茫々たる砂丘だけが開けた。北辺の標(しるべ)なき果てでは、風雪が宙空を乱れ舞い、終りなき沈黙が大地を凍らせる。吹雪の兆しを孕んだ、微かな海鳴りに耳を澄ませる時、
凍土に独り立つ画家は、内なる故郷と一つになるのだろ
う。2年ぶりの油彩展、更なる深度を見せる極限の原風
景(ランドスケープ)を。
【DM】 丘 風景 (2022)
Oil on canvas / 6P
249th ── 光と色の彼方に ──
第18回 牧野宗則木版画展
2023年 01月07日 (土) 〜 01月23日 (月)
燦爛と溢れる光彩、爛漫と綾なす色彩、そこには木版画の範疇を遥かに超えた、新たな印象派とも言うべき世界があった。牧野宗則──伝統木版の超絶技巧を武器に、伝統木版・現代木版のいずれも成し得なかった、革新の版表現を開拓して現在に到る。2年ぶりの個展は、その
瞠目すべき「印象表現」の、燦然と輝く軌跡を一堂に。
【DM】 希望 (2021)
木版画16版35度摺 / 34.8x49.8cm
ed.50
248th ── 天幕の下のマ・メール・ロワ ──
第17回 舟山一男展
2022年 12月08日 (木) 〜 12月25日 (日)
異郷のサーカス村に月影が落ちて、色褪せた天幕は荒野の花となる。詩人は天幕の中に、世界を見た。曲芸師の跳躍、踊り娘の舞踏、道化師のパントマイム、華やかな舞台の陰を彩る、有りと有る人世の哀歓を、詩人は独り憂愁の絵筆で綴り上げる。舟山一男17回展、今宵も天
幕の下に繰り広げられる、哀しくも艶やかなお伽話を。
【DM】 月下サーカス村 (2022)
mixed media on canvas / 4F
247th 画廊開設20周年記念
── 最後の睡蓮の花開く庭で ──
第8回 藤崎孝敏展
2022年 11月10日 (木) 〜 11月27日 (日)
放浪の果てに辿り着いた、ブルターニュの寒村に在っても、画家の旅路は未だ終わらない。冬から春へ、春から夏へ、そして夏から秋へと、北国の転変する荒空の下、
移ろいゆく季節と共に、また新たな一年が重ねられた。
第8回藤崎孝敏展、果てなき道程より生み出された、憂
愁に染まる深甚の絵画を、今回も渾身の描き下ろしで。
【DM】 睡蓮 (2022)
油彩 / 4P
246th ── INNOCENCE ──
第4回 小林健二展
2022年 10月12日 (水) 〜 10月31日 (月)
※「企画画廊 くじらのほね」と同時開催
寝静まった薄明の大気に、淡い夢のもやがかかる頃、柔らかな未知のフォルムは音もなく目覚める。彼らは、夢と現実のあわいに息づく生物たち、沈黙の宙空に夢の言葉を刻みながら、異なる世界への密やかな通路を開く。イノセンス──哀しき無垢の存在は、数知れない微かな
声を一杯に吸い上げて、いつか優しい霧のような歌を、
静かに降らせるのだろう。全点新たな描き下ろしによる
油彩展、更なる領域へと広がりゆく小林健二の宇宙を。
【DM】 [INNOCENCE]より (2022)
Mixed media
245th ── 遮 (さえぎ) られた休止符 ──
第2回 舟越桂版画展
2022年 09月15日 (木) 〜 10月02日 (日)
沈黙の時空にたたずむ人物像、放心の表情から注がれるその視線の先に、彼らは何を見ているのだろう。独創的な彫刻が国際的な評価を得る一方で、もう一つのライフ
ワークである版画制作も、また特異なオリジナリティー
を放つ。9年ぶりに贈る版画展、貴重なリトグラフの名
作から近年の銅版画まで、その比類なき画業を一堂に。
【DM】 あいまいな鏡 (1994)
リトグラフ / 64x91cm Ed.30
244th ── 月に憑かれた街で ──
第8回 安元亮祐展
2022年 08月18日 (木) 〜 09月04日 (日)
黄色い月が夜空に溶け出して、寝静まる路地裏にその影を落とす時、家並みもまた大気へと融解し、街はいつか月に酔いしれる。軽やかに踊るファンタジー、密やかに流れるノスタルジー、やがて見も知らぬ夜の異郷は、透
き通るような詩に包まれるだろう。安元亮祐第8回展、
今宵は妖しく繰り広げられる、月明かりの無言劇場へ。
【DM】 月の街 (2022)
Acryl on panel / 6P
243rd ── 流れゆく雲に身を委ねて ──
第14回 河内良介展
2022年 07月21日 (木) 〜 08月07日 (日)
小さな窓の向こうに、何処とも知れない世界が広がる。
そこは別次元の異郷、色彩の消えたモノクロームの時空で、軽やかに繰り広げられる瞠目の無言劇。空を覆う雲がふいに流れる時、世界は隠された光彩を露わにするだろう。鉛筆画の異才が贈る14回目のイリュージョン、真夏の午後のひと時は、いよいよ冴え渡るファンタジアの王国へ。
【DM】 流れゆく雲に身を委ねて -部分- (2022)
鉛筆〈17.0x14.0cm〉x5点
242nd ── ソフト・フォーカス ──
第5回 三木俊博展
2022年 06月23日 (木) 〜 07月10日 (日)
泥の魂は柔らかく湿り、奥に向かってめり込む指先の感触が形を誘発する。マッスは朝もやの流れのなかでほの甘く気化し、薄肉色に溶けてゆく(三木俊博)。──変容する量塊を一瞬に凝結させた時、結晶は密やかな魂を孕む。待望の5回展、新たなるブロンズ彫刻の地平を。
【DM】 キエフの少女 (2022)
Plaster / h.260mm
241st 二十の謎 ── レディ・エリオットの
20のオブジェ
第1回 北川健次展
2022年 05月25日 (水) 〜 06月13日 (月)
黄昏のパサージュから、迷宮のコリドーから、
不穏に謎めく浪漫は密やかに溢れ出す。
幻惑のコラージュ、錯乱のイマージュ、
稀代の錬金術が今、異界への扉を開く。
異才・北川健次が仕掛ける幻視のオブスクーラ、
その奇想・詭計の絢爛と綾なす、
めくるめくオブジェの魔術を。
【DM】 ブルターニュの二つの青い瓶
オブジェ / 2021
240th ── 旅寝の夜話 ──
第14回 榎並和春展
2022年 04月28日 (木) 〜 05月15日 (日)
※「企画画廊 くじらのほね」と同時開催
様々な人々が絵の中にたたずむ。
楽師・修道士・旅芸人・放浪者……、いずれも「旅人」として、いずこへと歩きゆく者達。彼らはまた私達でもあるのだろう、この歳月もやはり旅路なのだとしたら。だから、彼らの紡ぐ詩歌は私達の物語、「旅寝の夜話」は、もう始まっている。
【DM】 三重奏 (2021)
混成技法 / 8F
239th ── 薄明のロマネスク ──
第1回 増田泰子展
2022年 03月31日 (木) 〜 04月17日 (日)
とある午後の薄明に、ロマネスクの扉は密やかに開かれる。そこは誰知らぬ異郷の館、止められた時の狭間で、物思う永遠の少女達は果てのない物語を紡ぐ。不思議な魅惑を放つ女性像で、近年更なる注目を集める画家・増田泰子の世界、その多様に展開する人物表現の妙技を。
【DM】 Coffee time (2021)
Acryl on canvas / 30x15cm
238th ── 閑日寂韻 ──
第19回 中西和展
2022年 03月03日 (木) 〜 03月20日 (日)
清々とほのかに陽の入る部屋には、いつしか寂静の気韻が満ちている。音も無く、動くものも無く、時もなお動かず、全ては穏やかに澄み渡り、もはや如何なる迷乱も無い。個性の桎梏を離れ、表現の妄執を超えて、閑寂の
彼岸に遊ぶ中西和の世界。未だ暗霧の晴れない世相に、
確かな光明をもたらすだろう、その曇りなき境地を今。
【DM】 閑日 (2022)
混合技法 / 55x80cm
237th TSUGARU ── 風聲の村から ──
第3回 森幸夫素描展
2022年 02月03日 (木) 〜 02月20日 (日)
北辺の地──津軽。その最果ての寒村に、画家は幾度となく足を運び、身を切るような吹雪の中で、独りひたすらに筆を走らせた。津軽に魅せられて10余年、砂丘に埋もれゆく海浜の村に、画家は何を見ていたのか。現地で描かれ、今もなお現地の風聲を宿す、卓絶のペーパー
ワークス、その「素描」を超えた深奥の表現を一堂に。
【DM】 潮騒を聲く (磯松にて)
2014 ー 2021
コンテ・パステル・水彩
28.0x38.0cm
236th ── 記憶の縫い目 ──
第17回 平澤重信展
2022年 01月06日 (木) 〜 01月23日 (日)
遠い日の出来事が、ふいに昨日の事のように甦り、つい昨日の出来事は、遥かな夢のように遠ざかる。そんな時記憶はいつかその縫い目を解いて、異空を浮遊するのかも知れない。3年ぶりに贈る油彩展、不可思議な薄明の時空で、隠れていた想いは今、軽やかに解き放たれる。
【DM】 歩こう (2021)
油彩 / 4F
235th ── 聖夜のメリーゴーラウンド ──
第16回 舟山一男展
2021年 12月08日 (水) 〜 12月25日 (土)
クリスマス・キャロルの流れる頃、荒野の村に異国の天幕が張られる。艶やかな若者達が繰り広げる、一夜の夢の舞台。詩人はそこに「世界」を見た。そして、有りと有る哀歓を密やかに綴った。
舟山一男の原点「サーカス」、今宵哀しき天幕の下で、追憶の木馬達が回り始める。
【DM】 月夜のカーニバル
(フランス・ランスのメリーゴーランド)
混合技法 / 4F 2021
234th ── 目覚めよと呼ぶ声が聞こえ ──
第7回 藤崎孝敏展
2021年 11月11日 (木) 〜 11月28日 (日)
この一年、ブルターニュの寒村から一歩も出る事なく、
画家はただひたすらに描き続けた。描いては潰し、また描いては潰し、内奥の「何か」を形にするために、画家は絶望的な手探りでそれを追い求める。やがて浮かび上
がった形象は、或る不可思議な実在となって、確かな声
を放つだろう。待望の7回展、新たなる渾身の成果を。
【DM】 ルドンの運河 (2021)
油彩 / 19.0x27.3cm
233rd ── 美神達のセレナーデ ──
第5回 池田満寿夫展
2021年 10月14日 (木) 〜 10月31日 (日)
稀代の版画家が逝きて四半世紀になろうとする今、版画シーンは未だ低迷の暗中にある。ならば思い出そう、版表現が希望に満ちていた時代を、そして天賦の旗手・池田満寿夫の絢爛たる遺産を。
9年ぶりに贈る名作展、今秋清新の息吹と共によみがえる、美神達の饗宴を一堂に。
【DM】 私を見つめないで (1968)
ドライポイント・ルーレット・
エッチング 35.3x30.3 / Ed.36
232nd ── 今、遥かなる青空の歌を ──
第14回 栗原一郎展
2021年 09月16日 (木) 〜 10月13日 (日)
異国の基地を抱えた街に育ち、画業の全てをその街で成して、その街で帰らぬ人となる。福生に生きた画家は、自らの街に世界を見ていた。その憂愁を、その情愛を、その豪放を、その魂魄を、全てを描き切った街の上で、故郷の空は今、唯ひたすらに青い。巨星墜ちて一年、画
家中の画家・栗原一郎の遺した、最後の絶唱を一堂に。
【DM】 青空の街 (2019)
油彩 / 4F
231st ── 物語が始まる ──
第7回 新井知生展
2021年 08月19日 (木) 〜 09月05日 (日)
あったかもしれない、あり得たかもしれない物語、またはその先へと伸びゆく様々な想い、そんな自分なりの物語を紡ぐことで、人は自分の人生を、大切な愛おしいものとして生きられるのではないか ── 待望の7回展、軽やかなフォルムが随所に浮かび、豊かなイメージが縦横に交錯する時空で、いま新たな物語が産声をあげる。
【DM】 生まれるもの (2021)
パネルに綿布・アクリル絵具 / 38x46cm
230th ── 異境の博物学 ──
第13回 河内良介展
2021年 07月22日 (木) 〜 08月08日 (日)
モノクロームの空に薄雲が浮かび、異境の草原に午後の風が吹く頃、世界のシステムは密やかにエラーを来し、博物学は緩やかに解き放たれる。卓絶した技法を自在に駆使しつつも、リアリズムは大胆に解体され、軽やかなファンタジーが世界を満たす。鉛筆画の奇才が贈る13回展、更なる展開を見せる、魅惑のイリュージョンを。
【DM】 ジャイアント・バーブ (2021)
鉛筆 / 32.2x35.0cm
229th ── Just as long as You stand ──
第13回 わたなべゆう展
2021年 06月24日 (木) 〜 07月11日 (日)
日々画面の上で、農耕に励んでいる──自らの制作を、画家はそう語っていた。精神の畑を耕し、地味を養い、イメージを育み、やがてそれは濃厚な大地の香を孕む、あの特異の表現として結実する。そして逝去の後も、作品はいよいよ生き続けるだろう、農場に立つ画家の在る
限り。今なお豊饒の生気を放つ、あの魂の結晶を再び。
【DM】 Box Collection No.7 (2016)
板に油彩 / 38x53cm
228th ── 昼下がりの招待 ──
第8回 中佐藤滋展
2021年 05月27日 (木) 〜 06月13日 (日)
空が鈍色に染まる午後は、見知らぬ陋巷を訪ねよう。怪しげな書状の地図を辿り、路地裏の朽ちた扉を開ければそこはN氏の館。主人(あるじ) の居ない食卓には、熱い湯気を立てる手料理が置かれ、いつの間につどい合った客人を迎える。レトロな浪漫の香り、立ち上がる物語、昼下がりのひと時は、奇妙な紳士達の午餐にようこそ。
【DM】 フライパンのある食卓 (2021)
Acryl on canvas / SM
※ 3連作中の1点
227th ── いつものように ──
第13回 榎並和春展
2021年 04月28日 (水) 〜 05月15日 (土)
※「企画画廊 くじらのほね」と同時開催
かつてない災いが世界を駆け巡った。都市は封鎖され、ゴーストタウンと化したが、その反面、経済ばかりが優先される現代の価値観に疑問を投げかけ、いつもの日常がどれだけ大切であったかを、私達は教えられる事となった。そんな何気ない日々からのメッセージを。
~ HARU
【DM】 夜の聖堂 (2021)
混成技法 / 10F
226th ── Litte Field ──
第3回 小林健二展
2021年 04月03日 (土) 〜 04月23日 (金)
惑星から届く言葉、古代からの密やかな便り、異空に息づく者たちの囁き、時空を超えて交感する小林健二の世界。それは現在の暗雲におおわれた地平に、消える事のない蜃気楼の彩層を柔らかに浮かび上がらせるだろう。3年ぶりに贈る第3回展、よみがえる未知からの声を。
【DM】 Little Field (2021)
Mixed media / 180x135mm
225th ── 花ぞむかしの香に匂ひ ──
第18回 中西和展
2021年 03月03日 (水) 〜 03月22日 (月)
如何なる時代にあれど古里の花は、昔より変わらぬ香に馥郁と匂い立っている。春の花、夏の緑、秋の果、冬の枯、変わりゆく季節の中で、幾度も廻り来る変わらないもの。それらに深い共感を注ぎつつ、画家は内なる永遠の故郷を描き出す。今年も山中のアトリエより届く、新たなる珠玉の描き下ろし、その清々と澄み渡る境地を。
【DM】 小春日 (2021)
混合技法 / 38x46cm
224th ── 沈黙が彩るもの ──
第2回 森幸夫展
2021年 02月03日 (水) 〜 02月20日 (土)
遠く辺境の砂上に、アトリエの卓上に、沈黙は深い霧のように降りている。それはいつしか大気を彩り、内なる色相をもたらし、豊かな静謐を織り成してゆく。言葉の絶えた所から絵画が始まるのなら、ここには曇りなき絵
画の原点が潜むだろう。森幸夫第2回展、画面を満たす
静けさの彼方から、あの遥かなる声が今、語り始める。
【DM】 Still life '06 土器のある… (2006)
油彩 / 10M
223th ── 雪 月 花 ──
第17回 牧野宗則展
2021年 01月06日 (水) 〜 01月23日 (土)
日本の美を象徴する言葉として、昔日より親しまれて来た「雪月花」。しかし、日本画の精神はとうに隠滅し、浮世絵も衰退の一途を辿る現在、真にこの言葉を体現する作家は少ない。今、この標なき時代にあって、名匠・牧野宗則の手になる雪月花は、新たな日本の美を鮮やか
に提示する。2年ぶりの作品展、その豊麗なる世界を。
【DM】 悠々無限 (2020)
木版画30版48度摺 / ed.50
222th Singin' in the Rain ── 雨に唄えば ──
第15回 舟山一男展
2020年 12月05日 (土) 〜 12月25日 (金)
その日、愁雲は雨をもたらした。パリの街並に、ベニスの鐘塔に、東京の街路に、雨は音もなく降りしきった。雨粒に濡れるそれぞれの窓が、雨脚に煙るそれぞれの風景を映し出す。待望の15回展、画家は「雨の情景」をテーマに、新たな世界へと挑んだ。多様なヴァリエーシ
ョンで綴られた15景、密やかに響き出す雨の調べを。
【DM】 雨に見入る小猫と花籠 (2020)
混合技法 / SM
221th ── 闇に燃ゆる花の如く ──
第6回 藤崎孝敏展
2020年 11月04日 (水) 〜 11月23日 (月)
2020年、不穏な濃霧はあまねく世界を覆い、西欧を侵蝕する惨禍は、現在も終息に到らない。ブルターニュの画家もまた、数々の辛苦を強いられたが、全てを乗り越えて空を渡り、困難な帰国を果たした。今年もその手
が抱く渾身の結晶は、必ずや光なき人心に、赤々と燎火
を灯すだろう。暗雲の闇を照らす、強靭なる花々を今。
【DM】 ピヴォワーヌ (2020)
油彩 / 15M
220th Toledo ── 追憶の街を訪ねて
第24回 斎藤良夫展
2020年 10月03日 (土) 〜 10月23日 (金)
昨秋、画家は長い時を経て、再び追懐の地を訪ねた。古都トレド──今やその多くが、観光街へと変貌する傍らで、時に取り残されたような路地も残る。そんな飾らない陋巷こそが画家の戻るべき故郷であった。いま熟成の筆で悠然とよみがえる、古都とその周縁を巡る旅路を。
【DM】 シグエンサ (2020)
油彩 / 6P
219th ── 谷戸の林の物語 ──
第09回 佐々木和展
2020年 09月02日 (水) 〜 09月21日 (月)
それは遥かな日、緑なす里山の小径を、日々にこやかに歩む画家が居た。ふり仰ぐ空、雑木林を渡る風、名もなき叢草の息吹、小さな生き物達のささやき、そこに画家は「世界」を見たのだろう。58歳の早逝から11年、愛する谷戸で豊かに綴られたあの限りない物語を再び。
【DM】 彗星の日 (2005頃)
混合技法 / 6P
218th Landscape ── 密やかな場所 ──
第12回 河内良介展
2020年 08月05日 (水) 〜 08月24日 (月)
夏の遅い午後、時の位相がいつしか偏移して、周囲が奇妙な気配を帯びている、そんな遠い記憶を思い出そう。そこは、日常からわずかにずれた世界、誰知らぬ密やかな場所、その解き放たれたイメージと軽やかに遊ぶ時、私達はあのモノクロームの王国へと、いつの間に足を踏
み入れている。今年もいざ、驚異のランドスケープを。
【DM】 紡績工場 (2020)
鉛筆 / 32.9x43.0cm
217th ── 真偽と虚実 ──
第16回 平澤重信 (ガラス絵) 展
2020年 07月04日 (土) 〜 07月24日 (金)
消え去った音が真実なら、記憶の中で消えない音は虚偽なのか。或いは消えない音こそが真実か。真偽は入り混じり、虚実はそのあわいに霞む。そして今、それらは透き通る時空で溶け合い、しなやかなハーモニーを奏で始める。時世の暗翳を晴らす、新たなガラス絵の世界を。
【DM】 小さな証し (2020)
ガラス絵 / 0F
216th ── Blowin' in the Wind ──
第12回 わたなべゆう展
2020年 06月06日 (土) 〜 06月26日 (金)
画家はいつも風をまとっていた。それは大地を吹き渡る豊饒の風だった。安井賞受賞から四半世紀、青ざめた時代を自在に駆け抜け、比類なき個性派として活躍したが今春無念にも帰らぬ人となる。わたなべゆう、享年69歳。アトリエに残された新作を含め、豊かなる蘇生の息吹に満ちた、画家最後の絶唱を一堂に。
【DM】 Collection No.149 (2020)
Oil on panel / 42.0x28.5cm
215th ── 夢の続き ──
第12回 榎並和春展
2020年 05月06日 (水) 〜 05月25日 (月)
「何もない所からは何も生まれない。何か引っかかる所からイメージが湧き、形になって行く。それは夢の形とよく似ている。我々は何処に向かうのか?そんな事を思いつつ、夢の続きを描いて行きたい」、時代の暗雲を払う慰藉と祈望の絵画。温かに満ちる12回展の息吹を。
【DM】 帰去来 (2019)
混成技法 / 4F
214th ── 春韻寂静 ──
第17回 中西和展
2020年 04月04日 (土) 〜 04月24日 (金)
澄み渡る気韻の中に、いつしか色心の差違を超えて、尊い何ものかが定位する。折しも春の韻、寂滅の静穏に沈むなり。桜花開く山房から時に幽遠の趣を湛えつつ、今年も新たなる成果が届く。世相なお暗澹と澱む時節、今こそ柔らかな寂光の満ちるだろう、あの清浄の楽土へ。
【DM】 斑鳩 (2020)
混合技法 / 45x45cm
213th ── 静寂の鼓動 ──
第5回 本宮健史展
2020年 03月07日 (土) 〜 03月27日 (金)
言い難き静謐の時空から、深い内奥の声が響き出す。音もなく流れゆく精神の河辺で、画家はひたすらに見えざるものを希求する。悲嘆の流れを過ぎて、憎悪の流れを超えて、燃えたぎる業火を抜けたその先に、静寂は或る
確かな鼓動を打つのだろう。待望の第5回展、遥かカタ
ルーニャの地から届く、新たなる瞑想と内省の絵画を。
【DM】 憎悪の河 (2019)
混合技法 / 38x61cm
212th ── 風と雪の大地で ──
第1回 森幸夫展
2020年 02月05日 (水) 〜 02月24日 (月)
最果ての村は吹雪だった。大気は一面に白濁し、凍原は吹き荒ぶ風に鳴動している。身を切る風雪の中に立ち、画家は独り絵筆を走らせた。やがてその手は風音の底から、悠久なる大地の響きと、名もなき蒼氓の歌を聞く。
森幸夫──あらゆる虚飾を排して、表現の根源へと挑む
画家。その豊かな沈黙から浮かび上がる、魂の風景を。
【DM】 風の遊ぶ村 Ⅰ (2019)
油彩 / 6P
211th ── 猫町奇譚 ──
第7回 安元亮祐展
2020年 01月08日 (水) 〜 01月27日 (月)
夜も更けて月の冴える頃、路地裏の猫たちはいつか詩人となる。月影は瞳に落ちて、星影は尾に宿り、詩人は透き通る大気の中で、しなやかに流れるソネットを唄う。満を持して、5年ぶりに贈る安元亮祐の世界。所は猫町
「猫」尽くし、のんども鳴りますごろごろと。妖しくも
懐かしい詩人達が繰り広げる、魅惑の夜会にようこそ。
【DM】 あの日の猫 (2019)
板にアクリル / 27.3x44.8cm
210th ── 月に目覚める者へ ──
第14回 舟山一男展
2019年 12月04日 (水) 〜 12月23日 (月)
夜の雲間に月影の揺らぐ頃、追憶の少女達は密やかに目覚める。それは微かな星明りの下、誰知らずよみがえるイコンのように、小さな窓枠の向こうに息づく。通り過ぎた想い、置いて来た惑い、去り往きし憧れ、今宵秘めやかな憂愁を紡いで月に目覚める者達の物語が始まる。
【DM】 白いペンダント (2019)
混合技法 / 3F
209th ── デ・ラ・ブルターニュ ──
第5回 藤崎孝敏展
2019年 11月06日 (水) 〜 11月25日 (月)
荒ぶる海、遥かな大地、流れる雲、吹き渡る風。フランスの西端・ブルターニュに流れ着いて7年、画家は生きる日々に出会った忘れ難き光景を描き留めた。風物・静物・人物等々、あらゆる対象にその眼を向けて、全てを自らの絵と成す稀有の画家。その命漲るが如き世界を。
【DM】 ペネスタン (2019)
油彩 / 15M
208th ── 郷愁の街を求めて ──
第23回 斎藤良夫展
2019年 10月05日 (土) 〜 10月25日 (金)
遥かなる天涯の下に、誰もが心に抱くのだろう、懐かしき街が在る。内なる郷愁の地を求めて、画家は幾度も海洋を渡り魂の故郷を描き続けた。渡欧を重ねる事50余年、イベリアの辺境で、フランスの都邑で、イタリアの城塞で、憂愁に煙る追憶の街々が今その門扉を開ける。
【DM】 サン・ジェルマン・デ・プレ (2019)
油彩 / 4F
207th ── ブルー・ヴァレンタイン ──
第13回 栗原一郎展
2019年 09月04日 (水) 〜 09月23日 (月)
基地の街・福生に生まれ、戦後の激動を駆け抜け、原色の陋巷にて絵筆を握る。憂愁に煙るグレーのカンヴァスに、女が男が、花が静物が、建物が風景が、絶唱する命をみなぎらせ、今迫真の相貌を顕す。画家・栗原一郎、長い闘病の中で更なる画境へと挑む、その不倒の魂を。
【DM】 おんな (2019)
油彩 / 4F
206th ── クラインの古球儀 ──
第11回 河内良介展
2019年 08月03日 (土) 〜 08月23日 (金)
表は裏へと変じ、内は外へと転じ、あらゆる境界の消えた世界は、今軽やかなアリアを奏で始める。20数種の鉛筆による卓絶のグラデーション、縦横に展開する瞠目のイリュージョン。今夏も炎天の午後は、いよいよシュールな冴えを見せる驚異のモノクローム・ワールドへ。
【DM】 海儀 (2019)
鉛筆 / 34.9x29.5cm
205th ── 嗜眠の時刻に火を吐いて ──
第4回 三木俊博展
2019年 07月03日 (水) 〜 07月22日 (月)
生成と消滅の狭間に浮上し、抽象と具象の間を揺れ動く青銅の謎めいたメタモルフォーゼ。「モノへの凝視は向こう側からの眼差しとぶつかり、密やかな誘い込みのフォルムを造り出す」、ブロンズの奇才が贈る待望の4回展、新作20余点が共演する、魅惑の劇場へようこそ。
【DM】 シャルル 去来するものに身を委ねて
Bronze / h.20cm
204th ── Toward the origin ──
第11回 わたなべゆう展
2019年 06月05日 (水) 〜 06月24日 (月)
安井賞の受賞から四半世紀を超えて、その揺るぐ事なき立脚点は、未だ始原の息吹を孕む。当初から小手先の技巧や理念に依らず、より直接に生きた手触りを宿すその作風は、見る者になおダイレクトに伝播する、強靭な力を秘めて止まない。わたなべゆう2年ぶりの油彩展、あの豊饒なる温もりの中で、今再び原初へと向かう旅を。
【DM】 Small Collection No.421 (2019)
板に油彩 (布・砂・鉛筆 etc.) / 31.3x32.7cm
203rd ── 永遠のゆくえ ──
第11回 榎並和春展
2019年 05月04日 (土) 〜 05月24日 (金)
耳が遠くなれば小さな音を、目が霞んで来れば見えたように、飾る事なく淡々と表現してゆければそれでいい。美は発見である、それが「美しい」という事よりは「真理」や「ことわり」を意味するものだとしたら──第11回展、画家の手が拾い集めた「永遠のかけら」達を。
【DM】 鳥飼い (2019)
混成技法 / 4F
202nd ── 黄緑色三昧 ──
第15回 平澤重信展
2019年 04月03日 (水) 〜 04月22日 (月)
思えば40年以上もの間、黄緑色は僕の色だった。時々で色々な変化はあったにしても、やはりいつも共にあった色。だから黄緑色三昧、僕の人生の色だ。──茫洋とかすむ時の霧の中を、しなやかに逍遥する精神。昨日と今日の狭間で様々な想いの欠片が、柔らかに戯れて響き合う。第15回展、多様に進化するあの魅惑の広場へ。
【DM】 黄緑色社会 ─トリ─ (2019)
油彩 / 3S
201st From a square garden ── 方形の花園から
第16回 中西和展
2019年 03月06日 (水) 〜 03月25日 (月)
「パステル」という画材、「正方形」というフォルム、2つの新たな手法を武器に、画家は匂い立つような花園を描き上げた。自製の水性顔料を洗い流しながら描く、従来の独創技法を一旦は離れ、思いも寄らぬ展開を見せる中西和の世界。咲き乱れる花々の芳香が、そのみずみずしい気概を孕んで、今春未知の庭園がその門を開く。
【DM】 バラ園にて Ⅲ (2019)
パステル / 36.5x36.5cm
200th ── 通算個展企画200回記念 ──
画廊コレクション展
2019年 02月06日 (水) 〜 02月25日 (月)
2002年に画廊を開設して早16年を超え、その間に開催した企画展が、今回で通算200回となりました。これも皆様の温かい御愛顧のおかげと、心より感謝しております。つきましては当画廊の、ささやかながら選りすぐりの収蔵作品を、謝恩特価にて放出する事に致しました。最初で最後の特別企画、是非ご来廊下さいませ。
【DM】 藤崎孝敏「ルドンの夕日」
油彩 / 8F (2017)
199th ── 平成富嶽景 ──
第16回 牧野宗則展
2019年 01月05日 (土) 〜 01月25日 (金)
富士をライフワークとして30年、牧野木版を代表する富嶽シリーズは、正に「平成」の歩みと共にあった。元年の大作「光明」から新作「霊峰讃歌」まで、千変万化の多彩な容相を見せながら、その探求は今もなお尽きる
事がない。終りゆく平成年間の集成として、前人未到の
境地を拓いた革新の伝統木版、畢生の富嶽景を一堂に。
【DM】 霊峰讃歌 (2017)
木版画26版41度摺 / ed.50
198th La vie du poète ── 詩人の生涯
第13回 舟山一男展
2018年 12月05日 (水) 〜 12月24日 (月)
異国の海峡に春の風が吹く頃、詩人は遠い追憶の歌を紡ぎ始める。月夜に掛かるサーカスの天幕、出を待つ道化師の瞳、もの想う踊り娘の横顔、四季を移ろう終りなき旅路の時々に、想い出の欠片は密やかな物語をはらむ。出会うもの、去り行くもの、叶わざる想い、届かない言葉、憂愁の詩人が描き上げた、比類なき沈黙の調べを。
【DM】 サーカスを見る少女
混合技法 / 10F 2018
197th ── 西風の見たもの ──
第4回 藤崎孝敏展
2018年 11月07日 (水) 〜 11月26日 (月)
かつてパリを見据えた画家の眼は、今見晴るかす原野を見ていた。空を雲が走り川面は空を映す。羊達は草を食み、人はその群れを追う。そして人は地に根付きいつか大地の歌を紡ぎ始める。遥かブルターニュの地に移り住んで6年、いよいよその深度を増す卓絶の油彩表現を。
【DM】 モードの肖像
油彩 / 12F 2018
196th 巴里 ── 懐かしき街路に寄せて
第22回 斎藤良夫展
2018年 10月10日 (水) 〜 10月29日 (月)
パリ、追憶の街、懐旧の路。今春、想い出の都邑へ久々に画家は降り立ち、歩き慣れた路地の更なる奥へと向った。長い星霜を刻む石壁の狭間に、いつしか遠い郷愁の調べが響く。
2004年「巴里の空の下で」から早14年、新たな気概で描き下ろされた「斎藤良夫のパリ」を。
【DM】 朝のカフェ(サン・ミシェル界隈)
油彩 / 10F 2018
195th ─ 晩霞 (ばんか) に歌う花の如く ─
第12回 栗原一郎展
2018年 09月08日 (土) 〜 09月24日 (月)
咲き香る野の花、もの想う裸女、黄昏にともる灯、憂愁に煙る運河、有りと有る哀歓を爛漫と湛え、命の歌を奏でる自在の筆。福生に生まれ、基地の街を生きて、ただひたすらに画布と向き合い、今生の限りは描き続ける。画家・栗原一郎、いよいよ奔放に、いよいよ斬新に、比
類なき哀歌と讃歌が響く、そのみずみずしい「今」を。
【DM】 ならぶ (2018)
油彩 / 8P
194th ─ 雨上がりの散歩 ─
第6回 新井知生展
2018年 08月15日 (水) 〜 09月03日 (月)
遠すぎて見えないもの、思い出せそうで思い出せないもの、記憶の彼方に現れては消える景色、像を結びきれない意識のあわい。一貫してアクリル表現の可能性に挑み響き到る未知からの声を聴く。3年ぶりの第6回展、現代抽象の新たな扉を開く、しなやかに浮遊する時空へ。
【DM】 赤い実のなる木 (2018)
Acryl on board / 35.0x28.0cm
193rd ♠︎♦︎ モノクローム・ティーパーティー ♥︎︎♣︎
第10回 河内良介展
2018年 07月18日 (水) 〜 08月06日 (月)
見知らぬ異境の草原で繰り広げられる、魅惑のイリュージョン。無彩色の時空を無限のグラデーションが彩り、驚異的な細密表現が異次元の風景を現出する。鉛筆画の奇才が贈る第10回展、気だるい真夏の午後は、冴え渡る奇想が軽やかに遊ぶ、不思議のティーパーティーへ。
【DM】 マリーゴールドと磁器 (2018)
鉛筆 / 20.2x13.1cm
192nd ─ 曇り空のエトランゼ ─
第7回 中佐藤滋展
2018年 06月20日 (水) 〜 07月09日 (月)
うす曇りの午後の風に、見知らぬ陋巷へと誘われる時、何処からかきっとあの猫が、もの思わしげに顔を出す。気が付けばわびしげなカフェに居て、古いバラードがひそやかに流れ、在りし日は電球の傘の下で、漂う紫煙のように霞むだろう。待望の7回展、クールな哀歓を湛え
て描き出される、愛すべきエトランゼの街へようこそ。
【DM】 峠のレストラン (2018)
Acryl on canvas / 4F
191st ─ KEEP ON DANCIN' ─
第10回 わたなべゆう(ドローイング)展
2018年 05月23日 (水) 〜 06月11日 (月)
シェイキング、ローリング、ジャンピング、ドリフティング、多様な描線が飛びかい、画面を乱舞する。わたなべゆう第10回展、いよいよみずみずしく躍動する、新たなるドローイング・ワークスを一堂に。温かな古紙の時空から、画家の声は敢然と響くだろう──踊り続ける!
【DM】 No.794 (2018)
Acryl on Japanese paper / 91x67cm
190th ─ なにげない日々 ─
第10回 榎並和春展
2018年 04月25日 (水) 〜 05月14日 (月)
私の作品は、日々に浮かんでは消えてゆくうたかたのような想いを、描きとどめたオブジェのようなものだろうか。独り言のような一人芝居のようなものか。
それがいいのか悪いのかは分からない、こうしか表現できないのだから──遂に迎えた第10回展、榎並和春の「今」を。
【DM】 美(うるわ)しき天然
Mixed media / 6F (2018)
189th ─ 朝の硝子 ─ Morgonglaz
第2回 小林健二展
2018年 03月28日 (水) 〜 04月16日 (月)
春の要素が風に運ばれ、良い香りがしはじめる。
するとついさっきまで置いてあった
壜や皿やコップなどの虚ろな隙間に
朝のひかりが充蓄されて
硝子のような姿を顕してゆく。 小林健二
【DM】 ─朝の硝子─ Morgonglaz (2018)
Mixed media / 473x300mm
188th ── 遅日香風 ──
第15回 中西和展
2018年 02月28日 (水) 〜 03月19日 (月)
何気ない日常の中に、ある澄み渡るものを見出すまなざし。そこには清らかに香り立つ気韻が、いつも柔らかに
満ちている。安らかである事、その限りない深さと広さ
を、作品は無言の内に語ってやまない。今期で15回を
数える中西和展、故郷大和の懐かしい風景も交えつつ、
いよいよ清明な趣を湛えて顕れる、あの寂静の楽土へ。
【DM】 大和二上 (2018)
混合技法 / 35x70cm
187th ── 春彩爛漫 ──
第15回 牧野宗則木版画展
2018年 01月31日 (水) 〜 02月19日 (月)
時にみずみずしい輝きを放ち、時に奥深い気韻を湛えて描かれる自然の姿。自然の生命を見つめ、四季を通じて多様な表現を展開しゆく中で、特に自然が新しい息吹を宿す「春」は、幾度となく描かれて来た季節であった。今期15回展は、多彩なヴァリエーションを見せながら
みなぎるような命を孕む、牧野木版の「春」を一堂に。
【DM】 夢にめぐる (2004)
木版画12版25度摺 / ed.150
186th ── 記憶の膂力 ──
第14回 平澤重信展
2018年 01月05日 (金) 〜 01月22日 (月)
ある置き忘れられた午後の狭間で、遠い記憶はしなやかな力を得るだろう。それは静かな風となって薄明を吹き渡り、立ちよどむ暗緑の霧を晴らす。彼方の風景がその厚いヴェールを払い、清らかな呼吸を取り戻す時、忘れていた世界は音もなく立ち現れる。2018年初春、みずみずしく蘇る力を孕んで、新たな時空への扉が開く。
【DM】 ふっと立ちどまったようにして立っていた
(2017) 油彩 / 3S
185th ── 道化師の朝の歌 ──
第12回 舟山一男展
2017年 12月06日 (水) 〜 12月25日 (月)
憂える道化師、もの想う踊り娘、遠い異郷の天幕の下で密やかに演じられる、有りと有る哀歓のドラマ。舟山一男12回展、今回はライフワークの「人物」に焦点を絞り、全点人物像という意欲的なラインアップで、画家の現在を提示する。本年最後を飾る魅惑の劇場へどうぞ。
【DM】 指をくわえる踊り娘の肖像 (2017)
混合技法 / 6F
184th ── 流浪の大地から ──
第3回 藤崎孝敏展
2017年 11月11日 (土) 〜 12月01日 (金)
長い流浪の果てに、画家は北仏の小村にたどり着いた。緑なす丘陵、風の渡る広野、地を彩る花々、辺境に生きる人々。巴里の陋巷を出て十余年、画家は今異郷の原野を踏みしめ悠久の天涯を仰ぐ。待望の第3回展、濃厚な大地の香りを孕んで、新たなる世界がその幕を開ける。
【DM】 自画像 (2017)
油彩 / 30P
183rd ── 我が心のヴェネチア ──
第21回 斎藤良夫展
2017年 10月11日 (水) 〜 10月30日 (月)
アドリア海の女王ヴェネチア、画家は若き日よりその地を巡り、ライフワークの一つとして描き続けて来た。そして今、更なる画境を求めて、画家は再び水の古都へと挑む。ヴェネチア・シリーズ第4弾、水の街路に陽の落ちる頃、水面は遥かな空を映し運河は残照にきらめく。欧州を訪ねて60年、斎藤良夫だけが描き得る、我が心
の故郷を。
【DM】 碧い水路 (2017)
油彩 / 8F
182nd ── Color Aggressive ! ──
第11回 栗原一郎展
2017年 09月13日 (水) 〜 10月02日 (月)
ある日絵具箱の底に、古いピンクの絵具を見つけた。使った事のない色だ。でも思い返せば、かつてこの街にはピンクが溢れていた──甦る原色の街、溢れ出る命の花液、目の覚める様な色彩が今、遠い日の記憶を大胆に彩る。福生を生きる画家・栗原一郎の、新たなる挑戦を。
【DM】 白い道 (2017)
油彩 / 6F
181st ── 旅の途中 ──
第9回 榎並和春展
2017年 08月16日 (水) 〜 09月04日 (月)
古代インドでは、人生の最後を遊行期と呼んだ。人としての役を終えたら旅に出ろという事らしい。元より遊行に生きて来たような私は、生涯が「旅の途中」だ。いつものように暮らして行く、たぶんそれしか出来ない──徹して画家として生きる。榎並和春9回目の成果を。
【DM】 路上のチェリスト (2017)
混成技法 / 6F
180th ── シュレーディンガーの午睡 ──
第9回 河内良介展
2017年 07月19日 (水) 〜 08月07日 (月)
20数種の鉛筆を駆使して描き出される、瞠目の細密描写。モノクロームに徹し、鉛筆表現の極限に挑む、驚異のワンダーランドへようこそ。
現在、東京オペラシティ美術館で開催中の収蔵品展においても、数々の名作が出品されている奇才、その自在に展開する異次元の幻想譚を。
【DM】 泡箱の修理 (2017)
鉛筆 / 40.2x31.4cm
179th ── つかの間の化身 ──
第3回 三木俊博展
2017年 06月21日 (水) 〜 07月10日 (月)
心が肉に変る時/私はあなたの/脈拍の鼓動に寄り添って/応えるために/制作に没頭する──神話や歴史から浮び上がる斬新な異形のフォルム。ブロンズの可能性を拓き、立体の極限に挑む20余点、新たなる形象が再びその姿を顕す。現代彫刻の奇才、2年ぶりの新作展を。
【DM】 フェッラーラの淑女 (2017)
Bronze : h.200mm / Pedestal : h.68
178th ── On Land ──
第9回 わたなべゆう展
2017年 05月24日 (水) 〜 06月12日 (月)
干からびた精神の荒野を掘り起こし、耕して魂の種を蒔く。その時、絵筆は鍬であり、絵具は滋養であり、画面は農場であった。やがて豊穣の風が吹き渡る頃、実りは地気を孕んで、大地の精霊を宿す。
4年ぶりの油彩画展、画面の上で内なる農耕に励む、開拓者の新たなる成果を。
【DM】 Collection No.88 (2017)
Oil on board / 61x54cm
177th ── 瞑想の小宇宙 ──
第2回 浜口陽三展
2017年 04月26日 (水) 〜 05月15日 (月)
深い沈黙を湛える時空で、瞑想するかのようにたたずむ静物。ほのかな灯火を宿し、彼らは永遠の小宇宙に息づく。初回展以降、更なる蒐集を依頼して2年余、より一層の充実したメゾチント・コレクションが、今回も一堂に会する。今なおその輝きを失わない、珠玉の名作選を再び。
【DM】 びんとレモンと赤い壁 (1983〜89)
カラー・メゾチント
176th ── ほのかに夢に ──
第4回 本宮健史展
2017年 03月29日 (水) 〜 04月17日 (月)
沈黙の時空に浮ぶ精神のフォルム。未だ具象に到らざる未知の形態は、いつしか強力な磁波を宙空へ放つ。遥かバルセロナより届く待望の新作群、昨秋高評を得たパリ展からの巡回展として、本邦4年ぶりの個展がいよいよ開催となる。浮薄の時代に警鐘を鳴らしつつ、圧倒的な
存在を湛えて見る者に迫る、求道の画家が拓く現在を。
【DM】 ステュクス (2013)
板にミクストメディア 38.0x55.0cm
175th ── 神奈備の里から ──
第14回 中西和展
2017年 03月01日 (水) 〜 03月20日 (祝)
余に問ふ 何の意ぞ碧山に棲むと / 笑って答えず 心自ずから閑なり (李白) ── 山花開くアトリエにて、時に生々と、時に清々と描き出される諸物の魂。答えずとも
絵は何かを語り、そこからは、自ずから閑なる心が響き
出す。幽遠の情趣と寂静の気韻を湛えて、四季彩なす山
房の豊かな日々を詠い上げた、山川草木万象の詩歌を。
【DM】 焚く (2017)
混合技法 45.0x90.0cm
174th ── 鳥と少女の伝説 ──
第1回 南桂子展
2017年 02月01日 (水) 〜 02月20日 (月)
たたずむ少女、異国の鳥、樹々のささやき、昔話の塔、静かな憂いを湛えて滲み出す、清澄な無垢の詩情。銅版画の巨匠・浜口陽三の伴侶として、その生涯は寡黙な活動の内に閉じられたが、残された珠玉の作品群は、新たな再評価を巻き起している。生誕100年を経て鮮やかに今よみがえる、銅版画家・南桂子の終りなき物語を。
【DM】 女の子と鳥 (1964)
エッチング 28.0x29.7cm / ed.100
173rd ── 光うたう国から ──
第14回 牧野宗則展
2017年 01月05日 (木) 〜 01月25日 (水)
彼の視は/風光のおくの生命の輝きを/見事な木版画に表現した/そこでは光こそ色であり/色彩は光そのものであった/自然が秘した佛性を感得して/おもわず礼拝したいほどの/神秘に溢れていた(丸山豊・詩人)──
数ある名作から「光」をテーマとした作品のみを厳選、
牧野木版の根幹を成す、かつてない光の表現を一堂に。
【DM】 ふじのくに (2016)
木版画19版32度摺 / ed.100
172nd ── アドリアに雪花の舞う頃 ──
第11回 舟山一男展
2016年 12月05日 (月) 〜 12月25日 (日)
はからずもアドリアの海に、音もなく舞い降りた雪は、舟唄にまどろむヴェネチアを、いつか白銀の街へと変えたのでしょう。その時街角の貧しいアルルカンは、想いを寄せるうら若き踊り娘に、ひと時純白の花嫁を夢見たのでしょう。舟山一男11回展、有りと有る哀感を切々と湛えて、今密やかに幕開く冬の夜のカーニヴァルへ。
【DM】 雪降る ヴェニス1月 (2016)
混合技法・板 / 3F
171st ── 思考の抽斗 ──
第13回 平澤重信展
2016年 11月09日 (水) 〜 11月28日 (月)
遠い記憶の抽斗(ひきだし)を開けて、秋の広場にまき散らしてみよう。どこからか見知らぬ鳥が現れて、そのガラス玉のような欠片をついばむだろうか。割れた欠片からは思考が生れ、それは風に舞う枯葉となって、彼方へ飛び去るのかも知れない。平澤重信13回展、詩人の内に音もなく降り積もった、思考の欠片たちを一堂に。
【DM】 もういいかい (2016)
油彩 / 3S
170th ── 全欧州街道 ──
第20回 斎藤良夫展
2016年 10月12日 (水) 〜 10月31日 (月)
アンダルシアの荒野、グラナダの黄昏、プロヴァンスの
坂道、パリの街路、トスカーナの城砦、ヴェネツィアの
水路……、画家の果てなき旅路には、いつも悠久を湛え
る大地と、郷愁に染まる大空があった。斎藤良夫第20
回展、長年にわたる旅路の集成として、再び新たな気概
で描き下ろされた、欧州巡遊の遥かなる追憶を一同に。
【DM】 ルールマラン (2016)
油彩 / 20F
169th ── 薔薇燃ゆる ──
第10回 栗原一郎展
2016年 09月14日 (水) 〜 10月03日 (月)
たぎるが如き情念をはらんで、灰白色にけむる時空の中から有りと有る憂愁がにじみ出す。10年にもわたる闘病を続けてなお、いよいよ自在に乱舞する画家の魂。
栗原一郎10回展、荒ぶる描線の狭間で、鮮烈に香る深紅の灯と共に、力強い命を宿して今、燃ゆる薔薇の秋へ。
【DM】 ROSE ROSE ROSE (2016)
油彩 / 10F
168th ── ローマン・カモミールの降る午後に ──
第8回 河内良介展
2016年 08月17日 (水) 〜 09月05日 (月)
とある昼下がり、静かに窓を開け放つと、そこにはモノクロームの異郷が彼方へと広がっている。何処とも知れない草原で繰り広げられる、白昼の軽やかなイリュージョン。一本の鉛筆が紡ぎ出す無限のグラデーションが、見る者を不思議の時空へといざなう。河内良介8回展、今夏も卓絶の細密描写が綾なす、驚異のワンダーランドへようこそ。
【DM】 6つのリンゴ (2016) -部分-
鉛筆 / 15.7x14.6cm ─ 3連作
167th ── どこにでもある ──
第8回 榎並和春展
2016年 07月20日 (水) 〜 08月08日 (月)
アフリカの人々の絵や意匠に惹かれる。現代は個性的である事を良しとするが、彼らはそれよりも、木や水や風と一体になって、むしろ自分を消す事を考える。「いつでも、どこにでも、誰にでもあるもの」を描きたい。それが私にとっての「いい」ものだと思うからだ。
〜 榎並和春
【DM】 両手でうける (2016)
ミクストメディア / 6F
166th ── Once upon a time ──
第6回 中佐藤滋展
2016年 06月22日 (水) 〜 07月11日 (月)
その昔、運河の錆び付いた鉄橋を渡り、見知らぬ町へと
足を踏み入れた午後の、消えかけた記憶を思い出そう。
迷路のような小道を分け入って、たどり着いた路地裏の
カフェに、あのやぶ睨みのドラ猫を見つけたら、そこは
もう中佐藤ワールドの只中。ならば会いに行こう、紫煙
の奥で独りもの思う画家に、古ぼけた木の扉を開けて。
【DM】 夢の続き (2001)
アクリル / 10M
165th ── Draw and Blow ! ──
第8回 わたなべゆう(ドローイング)展
2016年 05月21日 (土) 〜 06月13日 (月)
呼吸する描線、温かな和紙の触感、かつてない独自のアクリル表現が拓く、類例なきドローイング・ワールド。同じオリジナリティーでありながら、油彩の重厚なマッスとは一線を画した、軽やかな自在の線描が躍動する。わたなべゆう8回展、斬新にして豊饒のダイナミズムに
満ち溢れた、新たなドローイング・ワークスの魅力を!
【DM】 No.654 (2016)
和紙にアクリル絵具 etc. / 30.2x42.5cm
164th ── YOKOHAMA ──
第8回 佐々木和展
2016年 04月20日 (水) 〜 05月13日 (金)
横浜に生まれ、横浜に生きて、横浜に逝く。佐々木和の生涯は、常に横浜と共に在った。時に港を描き、時に里を描き、時に森を描く。その眼はいつも名もなき者達への慈しみに溢れ、新鮮な驚きと喜びに満ちていた。かつて横浜を、このように描いた画家が在ったろうか。初回展より10年、今甦る佐々木和のみずみずしい息吹を。
【DM】 弁天橋の灯台 (2009)
混合技法・板 / 変形10号
163rd L’AME DES POETES ── 詩人の魂
第2回 藤崎孝敏展
2016年 03月23日 (水) 〜 04月11日 (月)
今や来し時去りし時/影なき日々の地に落ちて/遥けき鳥の我に似る──画家は自らの詩を絵筆に託して描き続けた。かつてそれは、画布に叩き付けられた魂の飛沫であった。そして今、詩人の魂は仄かな光となって画布に落ちる。個展第2弾、迫り来る絵画の揺るぎなき力を。
【DM】 翡翠の刻 (2016)
油彩 / 8P
162nd ── 春の一会 (いちえ) ──
第13回 中西和展
2016年 02月24日 (水) 〜 03月14日 (月)
日々の何気ない出会いに注がれる、温かく柔らかなまなざし。好き日を重ねるという事、そして良く生きるという事、一切の大仰を排した質実の画面の中から、その意味が穏やかに悠揚とにじみ出す。山桜を臨む鎌倉の山房
より送り出される、澄み渡る寂静の世界。今年もめぐり
来る春の息吹と共に、出会いがたき貴方だけの一会を。
【DM】 雛 (2016)
混合技法 / 38x60cm
161st ── 虹色の月の下で ──
第7回 風鈴丸展
2016年 01月30日 (土) 〜 02月15日 (月)
大気が透明な青緑に満ちて、ぼんやりとふくらんだ虹色
の月が昇る時、詩人の夢は静かに溢れ出す。夕まぐれ、少女の髪が七彩にざわめき、樹の枝がゆらゆらと萌え立ち、鳥たちの眼が妖しくきらめいたら、人はみな異界に
遊ぶ懐かしい少年となる。4年ぶりの7回展、今宵はと
きめく不思議を胸に分け入ろう、あの風鈴丸の世界へ。
【DM】 今宵もまた、この月の下 (2001)
木版画8版11度摺 / ed.180
160th ── 花の声、樹の響き ──
第13回 牧野宗則展
2016年 01月06日 (水) 〜 01月25日 (月)
花は地の星、樹は山の精、牧野芸術の根幹を貫く大自然への讃仰が、夢幻の色彩となって響き渡る。季節を彩る千変万化の花々と、自然の魂を宿す樹々が奏でる、華麗にして奥深い讃歌。 高評の2012年「咲く花と、燃ゆ
る樹と」に続く花樹シリーズ第2弾、天然の精霊達が七
彩のハーモニーを綾なす、あの牧野木版の極致を再び。
【DM】 秋桜 (2015)
木版画13版27度摺 / ed.80
159th ── 憂える花に寄せて ──
第10回 舟山一男展
2015年 12月05日 (土) 〜 12月25日 (金)
誰も居なくなった舞台で、踊り娘は一人沈黙の喝采を浴びる。ふり仰ぐ天幕の下には、危ういロープを渡る若者が一人。ここはサーカス小屋、星降る空の下で哀しい追憶と遥かな憧憬に染められ、今あでやかな花の咲く夜が始まる。待望の10回展、あの憂いに香る調べを再び。
【DM】 華祭り (2015)
混合技法 / 4F
158th ── さよならのあとで ──
第12回 平澤重信展
2015年 11月11日 (水) 〜 11月30日 (月)
枯葉色に透き通る日には、哀しみもまた軽やかに舞うだろう。それを見てもの憂げに呟くネコが居たら、そっと耳を澄ませてみたい。きっと、こんな声が聞えて来るだろうか──そうなんだ、サヨナラだけが人生さ…。曇り
空の午後、吹き渡る風が不思議な予感を運んで来たら、
さあ私たちも出かけよう、あの出会いと別れの広場へ。
【DM】 NEKOが来る (2015)
油彩 / 6F
157th ── プロヴァンス・天空の街から ──
第19回 斎藤良夫展
2015年 10月14日 (水) 〜 11月02日 (月)
南仏、リュベロン地方。なだらかな丘陵にラベンダーの
草原が広がり、見渡す限りのオリーブと葡萄畑の中に、
小さな集落が点在する。ゴルド、ルシヨン、ボニュー、
高原の斜面に浮かぶ、天空の街々を巡る旅路。幾星霜を
刻む石造りの街並、路地を吹き渡るプロヴァンスの風、
今年も遥かな郷愁に染まる、斎藤良夫の内なる故郷へ。
【DM】 坂道の家 〜 ボニュー (2015)
油彩 / 10F
156th ── 聖女たちの街で ──
第9回 栗原一郎展
2015年 09月16日 (水) 〜 10月05日 (月)
かつて、聖女たちの集った街があった。教会があってカフェがあり、バーの並ぶ路地が時代を作り、刹那の愛が溢れた原色の街。福生に生れ、福生に育ち、フェンスの向うの異国を思い切り吸い込んで、少年はやがて画家となった。栗原一郎9回展、いよいよ自在な描線から、か
き曇るような孤愁の滲む、あの愛しき聖女たちの街へ。
【DM】 僧院 (2015)
油彩 / 6F
155th ── チェシャー猫の時間 ──
第7回 河内良介展
2015年 08月19日 (水) 〜 09月07日 (月)
果てしない草原で繰り広げられる、白昼のシュルレアリスム。奇想の博物記、アリスの白日夢、カフカの不条理劇、ありとある不可思議をはらんで、異形の小宇宙が軽やかに展開する。20数種の鉛筆を自在に駆使して描き出された、目を見張る細密のモノクローム・ワールド。河内良介7回展、真夏の午後は静かなる驚異の部屋へ。
【DM】COLLECTION CASE (2015)
鉛筆 / 28x30cm
154th ── あるがままに ──
第7回 榎並和春展
2015年 07月22日 (水) 〜 08月10日 (月)
「あそぶ」というのは忘我の境地を言うらしい。何かに没頭している時など、確かに一瞬何者でもない空白の時がある。その一瞬に世界は凝縮しているのだろう。私にとって絵を描くとは、それに触れるための道具だと思う──日常に真理を見る。思索する画家の更なる境地へ。
【DM】古い手紙 (2015)
混合技法 / 4F
153rd ── 彼方からの鼓動 ──
第2回 三木俊博展
2015年 06月24日 (水) 〜 07月13日 (月)
神秘のヴェールの中から、精神の原像が浮かび上がる。それは遥かな神話と往古の歴史より、茫漠と生れいずるフォルムだろうか。高評の初回展より一年、更なる進化を遂げる独創のブロンズ彫刻。聖と愛の狭間で、みなぎる想いにたたずむ青銅の浪漫、三木俊博の世界を再び。
【DM】とまどひ (2015)
Bronze : h.240 / Pedestal : ∅100xh.25
152nd ── The Box Collections ──
第7回 わたなべゆう展
2015年 05月27日 (水) 〜 06月15日 (月)
捕えられた大地の精霊達。小さな木箱の中で、ユニークな生物の数々が、奇態に蠢動する。画一的な表現ばかりが散見される中で、ついに待望の幕を開ける、真のオリジナリティーを放つ、類例なきボックスアートの世界。
わたなべゆう7回展、荒ぶる原初の息吹を秘めて、目覚めた精霊達の繰り出す、豊饒なる大地の宴へようこそ。
【DM】Box Collection S-43 (2015)
板にアクリル絵具 (バルサ材・布・砂 etc.)
26.0x25.5x4.0cm
151th ── 通り過ぎる風景 ──
第5回 新井知生展
2015年 04月29日 (水) 〜 05月18日 (月)
人はただその場、その時を生きているのではなく、記憶
により重層的な時空を生きている。人と世界の関わり方
のそんな曖昧さ、不確かさの感覚を表現したい──明滅
する記憶との交信、そして自己と外界との交感を通し、
柔らかな抽象時空に展開される、未知からの不可思議なメッセージ。4年ぶりに扉を開く、新井知生の宇宙へ。
【DM】通り過ぎる風景 N0.6 (2015)
アクリル / 42x42cm
150th ── 富嶽巡礼 ──
第Ⅰ2回 牧野宗則展
(画廊企画展・通算開催150回記念)
2015年 04月01日 (水) 〜 04月20日 (月)
富士を描いて50年、伝統木版の新しい可能性を拓き、
未踏の版表現に挑み続ける牧野宗則の歩みは、常に仰ぎ見る富士と共にあった。かの北斎・広重が全霊を傾け、伝統木版の象徴となった富士を、新たな表現で甦らせた
20余点。2011年「新・富嶽二十四景」に続いての
シリーズ第2弾、再びその全貌を見せる現代の富嶽を。
【DM】天地有情 (2014)
木版画35版53摺 / ed.100
149th ── 風立ちぬ ──
第1回 藤崎孝敏展
2015年 03月04日 (水) 〜 03月23日 (月)
深い絶望の谷を渡り、荒れ果てた虚無の原野に立つ時、
人はそこに一陣の風を聞く──いざ、生きめやも。長い
旅路の中で、画家は何度この声を聞いただろう。浮薄に
澱む現代に対し、真っ向から肺腑を衝き、胸をえぐり、
血潮を呼び覚ます絵画。渡仏して30年、放浪の無頼派
が冬のブルターニュから贈る、ほとばしる魂の叫びを。
【DM】聖セネンの丘 (2013)
油彩 / 12F
148th ── きさらぎの頃 ──
第12回 中西和展
2015年 02月04日 (水) 〜 02月23日 (月)
穏やかに澄み渡る時空の中に、見慣れた草木が静かに置かれた時、それは奥深い気韻をしんしんと放つ、かけがえのない命となる。身近な野菜や果実をモチーフに、清らかな寂静の境地を描き出す、中西和の世界。一足早い春の息吹と共に、質実の光に満ちたあの魂の在りかへ。
【DM】枯鬼灯 (2015)
混合技法 / 26x18cm
147th ── 永遠のメゾチント ──
第1回 浜口陽三展 (画廊開設12周年記念)
2015年 01月07日 (水)〜 01月26日 (月)
深い静謐の時空に浮遊する、物言わぬ命達。濃密な沈黙を湛える小宇宙に、言葉なき瞑想が響く。初期の稀少作から世に知れた代表作まで、銅版画の名匠・浜口陽三の画業を選び抜いた名品で綴る。今12周年の感謝を込めて、出会い難き国際的大家の、貴重な名作群を一堂に。
【DM】22のさくらんぼ (1988)
カラーメゾチント / 55x24cm
146th ── 讃美歌の流れる夜に ──
第9回 舟山一男展
2014年 12月04日 (木) 〜 12月24日 (水)
星欄干と降りしきる空の下、何処からか高く低く、少年達の聖歌が流れて来る。冬の夜も更ける頃、誰知らぬ小さな町の隅に、ささやかな奇蹟は音もなく灯るだろう。舟山一男第9回展、寡黙に佇む遠い日の少年と共に、いつか私達もあの聖なる調べを、静かに歌い始める夜へ。
【DM】讃美歌が流れる夜 (2014)
混合技法 / SM
145th ── 11月の広場で ──
第11回 平澤重信展
2014年 11月05日 (水) 〜 11月24日 (祝)
緑にかげる空の下で、枯葉に舞う想いを見ていた。遠い日の透き通る哀しみが、見捨てられたブランコを揺らしている。11月の風がいつかの想いを乗せて、誰もいない広場を吹き渡る時、どこかに置き忘れた詩は軽やかに立ち上がるだろう。平澤重信11度目の秋へようこそ。
【DM】しあわせのわけまえ (2001〜2014)
油彩 / 8F
144th Venezia (ヴェネツィア)
── 追憶のバルカローラ ──
第18回 斎藤良夫展
2014年 10月04日 (土) 〜 10月24日 (金)
アドリア海の古都、水の街路が入組む迷宮。一筋の夕照
が仄暗い運河に落ちて、ゴンドラの舟歌 (バルカローラ)
が何処からか流れる。2008年「ヴェネチア紀行」、09
年「水の街路をゆく」に続く、3度目の魅惑溢れるシリ
ーズ。5年ぶりによみがえる斎藤良夫のヴェネツィア、
いよいよ深い郷愁に染まる、あの光と水の調べを再び。
【DM】ヴェネツィア (2014)
油彩 / 20P
143rd SAUDADE (サウダーデ) ── 孤愁 ──
第8回 栗原一郎展
2014年 09月03日 (水) 〜 09月24日 (水)
見せかけだけの美しさが蔓延し、浮薄な明るさに全てが
晒される現代において、拭おうにも拭えない翳りをまと
い、濃厚な「生きる」匂いを湛えて、孤愁の只中に物思
う女たち。血の通った「人間」を描く稀有の存在として、
いよいよ自在な境地を拓く、画家・栗原一郎の世界を。
【DM】まどろむ (2014)
油彩 / 6P
142nd ── 不条理の劇場は、真夏の午後に開く ──
第6回 河内良介展
2014年 08月02日 (土) 〜 08月22日 (金)
20種にも及ぶ鉛筆を駆使して、目を見張るような細密
画法で描き出される、驚異のモノクローム・ワールド。
純白から漆黒へと到る無限のグラデーションの中から、
斬新なイマジネーションに満ち溢れた、魅惑の小宇宙が
浮び上がる。鉛筆画の異才・河内良介、昼下がりはその
軽やかな不条理が香り立つ、不可思議の劇場へどうぞ。
【DM】日曜日はお祭りさわぎ -部分- (2014)
鉛筆 / 42.0x107.0cm
141st ── ヴェールの向こう ──
第1回 三木俊博展
2014年 07月02日 (水) 〜 07月21日 (月)
精神の量塊から、茫漠と浮び上がるフォルム。
それはいつしか神話や聖典の時空をまとい、古代の幻想
から甦る。現代彫刻の奇才・三木俊博。
卓越のブロンズ技法を武器に、特異な立体表現に挑む。
当店初公開、その魅惑の小宇宙を一堂に。
【DM】シスターの私服
Bronze / 32x10x13cm
140th ★★ 男たちのラプソディー ★★
第5回 中佐藤滋展
2014年 06月04日(水) 〜 06月23日(月)
うら寂れた路地を曲がると、忘れられたようなカフェが
在って、錆び付いたドアを開けると、侘しげなランプが
揺れている。店の片隅にはやぶにらみのどら猫が居て、
テーブルでは怪しげな紳士達が、紫煙をくゆらせている
だろう。レトロに香るファンタジア、クールに漂うノス
タルジア、2年ぶりに幕を開ける、中佐藤滋の世界を。
【DM】ワルトモ (猫)
アクリル・コラージュ / 6F (2014)
139th ── いったりきたり ──
第6回 榎並和春展
2014年 05月03日 (土) 〜 05月23日 (金)
絵の中に隠れている自分、それを探しに行くのが私の仕
事だと思う。心のあちらこちらを、行ったり来たりしな
がら──布地を貼り、幾重にも絵具を重ね、いつ果てる
とも知れない作業の中から、精神のフォルムが浮び上が
る。内なる放浪から生れ出た、もの想う現代のイコンを。
【DM】男と女 (2014)
混合技法 / F6
138th ── Paper & Acryl works ──
第6回 わたなべゆう展
2014年 04月02日 (水) 〜 04月21日 (月)
温かに染まる古紙の上で、縦横に踊る原初のフォルム。
今回はあの独創的なドローイング作品に加え、当店では
初めてのシリーズとして、アクリル板を併用したユニー
クな新作も登場する。常に新たな地平を拓き続ける、稀
代の個性派・わたなべゆうの世界。3年ぶりに贈る待望
のドローイング展、自在に躍動する卓絶のワークスを!
【DM】No.729 (2014)
和紙にアクリル絵具・アクリル板にインク /
30.2×30.2cm
137th ── 諸行拝礼 ──
第11回 中西和展
2014年 03月01日 (土) 〜 03月21日 (金)
私にとって「美」とは、創造などという前に「気付く」
ものであり、私の仕事は気付くごとに「ハイ」とうなず
き、一礼して来たようなものにすぎない。──日々のあ
らゆる「もの」に注がれる、柔らかな敬仰のまなざし。
澄み渡る時空より響き到る、清らかな質実の気韻。移り
ゆく四季を舞台に描かれた、曇りなきこの世の浄土を。
【DM】麦 (2014)
混合技法 / 45.0×90.0cm
136th ── 異国の街に星の降る ──
第6回 安元亮祐展
2014年 02月01日 (土) 〜 02月21日 (金)
見知らぬ異郷にゆるゆると月が昇り、何処からともなく
さわさわと蒼い風が吹く時、いつしか人は不思議の街に
迷い込んで、夢の路地裏で遊んでいる。アクリル絵具を
自在に駆使して、詩情あふれる幻想の風景を、密やかに
豊かに描き出す奇才、安元亮祐の世界。3年ぶりに贈る
第6回展、更なる進化を見せる、音なき詩人の調べを。
【DM】夜間の語らい (2012)
アクリル・コラージュ / 22.1×48.8cm
135th ── 山水黎明 ──
第11回 牧野宗則展
2014年 01月04日 (土) 〜 01月24日 (金)
山の音、水の響き、奥深い自然の声を聞き、秘められた
命の輝きを描く。驚異の多色刷りが織り成す、未曾有の
木版芸術、「富嶽」「花樹」「海景」に続いて、テーマ
別企画の掉尾を飾る第4弾は、燦爛たる光彩の豊かに綾
なす「山水」のシリーズを。旧態依然の邦画を打ち破る
瞠目の版表現が、今、新たなる山水の夜明けを告げる。
【DM】妙なる響き (2000)
木版画21版30度摺 / ed.160
134th ── 星夜の憂愁 ──
第8回 舟山一男展
2013年 12月4日 (水) 〜 12月23日 (月)
荒野に月のかかる頃、サーカス村に温かな光が灯り、出
を待つ道化師は、かなわぬ恋に憂う。やがて星降る天幕
の下、異郷の調べに乗せて、哀しきパントマイムが、密
やかに始まるだろう。2年ぶりの8回展、有りと有る哀
歓をはらんで、舟山一男の世界が、再びその幕を開ける。
【DM】アルルカンの肖像 (2009〜2013)
混合技法 / 4F
133rd ── 帰り道をおしえて ──
第10回 平澤重信展
2013年 11月2日 (土) 〜 11月22日 (金)
日々に迷い、何か大切なものを見失い、どこに居るのか
も分らなくなった時、人は道を探し始める。いつの間に
遠く離れてしまったけれど、今もどこかにある懐かしい
場所への道を。遂に10回展を迎えた平澤重信の世界、
ここにはきっと、その帰り道がある。枯葉舞う秋の風の
中を、軽やかに昨日へと伸びる、あの密やかな小径が。
【DM】帰り道をおしえて (2013)
油彩 / 3S
132nd Mallorca(マジョルカ)
── 地中海の古都から ──
第17回 斎藤良夫展
2013年 10月21日 (水) 〜 10月21日 (月)
地中海に長い歴史を刻む島、カテドラルのある古都、斎
藤良夫の欧州を巡る旅路は、今春初めてマジョルカへと
及んだ。歳月に風化された石壁、光と影の綾なす路地、
天涯の海に浮ぶ古い島に、画家は魂の故郷を見出す。第
17回展、いよいよ自在に冴え渡る筆致から、遥かな画
業の軌跡を滲ませつつ、新たな境地がその幕を開ける。
【DM】円塔のある館 (2013)
油彩 / 20F
131st days to remember
── 思い出す日々 ──
第7回 栗原一郎展
2013年 9月4日 (水) 〜 9月23日 (月)
過ぎゆく日々のかけらを、愛おしむように、慈しむよう
に描き出す眼差し。時に豪快に、時に繊細に躍動する描
線、一切の夾雑を削ぎ落した、簡素にして斬新な画風、
独特の灰白色に翳る背景、今年もあの独創的な世界が、
憂愁の秋風と共に会する。人物から静物・風景まで、あ
らゆるモチーフを自在に描き上げた、待望の7回展を。
【DM】残されたもの (2103)
油彩 / 6P
130th ── たたずむ言葉 ──
第1回 舟越桂展
2013年 8月3日 (土) 〜 8月23日 (金)
沈黙の時空の中から、しんしんと何かを語りかける眼差
し。耳を澄ませば静かな相貌の陰から、不可思議な物語
が滲み出す。銅版・石版・木版、あらゆる技法を駆使し
て創られた、革新の版表現。現代彫刻の奇才が挑み続け
る、もう一つのライフワーク、「版画」の世界を一堂に。
【DM】生きものの話 (1994)
リトグラフ / 76x57cm ed.30
129th ── Daydream Travelers ──
第5回 河内良介展
2013年 7月3日 (水) 〜 7月22日 (月)
遥かな草原を舞台に、軽やかに展開する不条理劇。白日
夢の旅人達は、見知らぬ異郷で、不思議なパントマイム
を演じる。人や動物、乗物に建物、怪しげな器械や装置
類、ユニークなキャラクターが自在に織り成す、奇想天
外の小宇宙。鉛筆画の奇才・河内良介、5回展を迎えて
いよいよ冴え渡る、驚異のモノクローム・ワールドへ。
【DM】ノベルティー号 (2013)
鉛筆 / 33x34cm
128th ── どこか遠く ──
第5回 榎並和春展
2013年 6月1日 (土) 〜 6月21日 (金)
なぜか、放浪の民に共感を覚える。いつまでも漂う身の
まま、答えのない問いを追いかけていたい。そんな思い
が、彼らへの共感になるのだろうか──ここではないど
こかを想う時、画家はまた天涯へと旅立つ。第5回展、
今年も精神の旅路から湧き出す、あの内なる異境の地へ。
【DM】説法 (2013)
混合技法 / F4
127th ── 今、風に向かって ──
第7回 佐々木和展
2013年 5月4日 (土) 〜 5月24日 (金)
初回展より7年の歳月が流れ、画家逝きてのち3年半の
月日が過ぎた。その間、様々な事が起きては往き去った
けれど、変わらず人は日々を生き続ける。画家の愛した
谷戸には、今日も風が吹き渡っているだろうか。今、温
かな再生の息吹を秘めて、画家最後の絶唱がよみがえる。
【DM】風に向かって (2009)
混合技法 / 85x47cm
126th ── 闇にまよひて ──
第3回 本宮健史展
2013年 3月30日(土) 〜 4月22日(月)
「出口」や「明り」を探すのではない、手探りでもいい
から、闇の中を歩き往く事、それが自分に課せられた、
生き方なのかも知れない──神なき時代の中を、魂のあ
りかを求めて歩む、内省と瞑想の絵画。3年の時を経て、
遥かバルセロナより届く、異才・本宮健史の「今」を。
【DM】多く持ちたがる人たち (2013)
Mixed media / 55x38cm
125th ── 遅き日に ──
第10回 中西和展
2013年 3月6日(水) 〜 3月25日(月)
どう描くべきか──という問いを離れ、描きたいものを
描きたい風に、坦々と描き続ける。何気ない日常を飾る
「もの」達が、画家の眼を通して静かにすくい上げられ
た時、そこには言い難い確かな「魂」が宿る。四季をめ
ぐる風物から滲み出す、曇りなき明鏡止水の境地。今春
に10回展を迎えて、いよいよ澄み渡る寂静の世界を。
【DM】初音 (2013) -部分-
混合技法 / 40x90cm
124th ── In the earth beat ──
第5回 わたなべゆう展
2013年 2月6日(水) 〜 2月25日(月)
精神の荒野を掘り起こし、画家は一粒の種を蒔く。やが
てそれは長い時を経て、いつか無数の果実を実らせ、生
命の謳歌を奏でる。土の匂い、原初の息吹、大地の鼓動
…、2年ぶりに満を持して贈る、待望の5回展。わたな
べゆうの内なる沃野に、今年もあの豊饒の風が吹き渡る。
【DM】collection No.138 (2013)
板に油彩 / 85.0x52.5cm
123rd ── 天海光響 ──
第10回 牧野宗則展
2013年 1月5日(土) 〜 1月25日(金)
月下の海、干潟に浮ぶ澪(みお)、悠久のしじまを湛え
る水面に、いま天の光が降りる。牧野木版を世に知らし
めた有明の連作を始め、前人未踏の版表現を展開した、
「海」と「水」のシリーズを一堂に。牧野宗則だけが成
し得た木版芸術の極致、水と光が織り成す神秘の響宴を。
【DM】慈照 (2012)
木版画17版27度摺
122nd ── ヴィーナス再臨 ──
第4回 池田満寿夫展
2012年 12月8日(土) 〜 12月28日(金)
MoMAにて日本人初の個展を開催し、ヴェネチア・ビ
エンナーレではグランプリを受賞、あらゆる版画技法を
駆使して時代を先導し、破壊と挑戦を絶えず繰り返しな
がら、63年の生を疾走した男。今、沈滞のアートシー
ンにあえて放つ、天才・池田満寿夫の華麗なる女神達を。
【DM】陽光のように (1981)
ドライポイント・アクアチント・ソフトグラン
ドエッチング / 36.5x29.8cm
121st ── その行き先 ──
第9回 平澤重信展
2012年 11月7日(水) 〜 11月26日(月)
あの路地を曲がったその先に、未知への窓は開かれてい
るのかも知れない。秋風に舞う枯葉の行き先は、きっと
見知らぬ町へとつながっている。密やかに広がる詩的時
空の中で、軽やかに遊ぶ哀しみのかけら達。今年もあの
懐かしい世界へ分け入ろう、11月の午後の扉を開けて。
【DM】あしたの約束(2012)
油彩 / M6号
120st 画廊開設10周年記念
Toscana ── 風の立つ街より ──
第16回 斎藤良夫展
2012年 10月10日(水) 〜 10月29日(月)
山の斜面をおおう城砦の町には、いつも風が吹き渡って
いた。トスカーナの山あいに散在する、いにしえの町の
路地に、画家は長い人の営みを、静かに幾重にも刻む。
斎藤良夫第16回展、魂の故郷を求めて、遥かな天涯を
巡る果てのない旅路を、全点油彩による新作で。今秋も
限りない郷愁を湛え、新たな境地がその全貌を見せる。
【DM】カスティリオーネ 〜 門のある家(2012)
油彩 / P15号